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20世紀後半アメリカ合衆国における政治文化の転換とその連続性に関する歴史研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K01067
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
研究機関フェリス女学院大学

研究代表者

梅崎 透  フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (30401219)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワードアメリカ合衆国史 / 社会運動 / 民主社会主義 / ニューレフト / 新自由主義 / ニューアメリカン・ムーヴメント / ラディカル・ポリティクス / ニュー・アメリカン・ムーヴメント / アメリカ / アメリカ史 / 政治文化 / 対抗運動 / 社会主義
研究開始時の研究の概要

アメリカ合衆国で1970年代から1980年代にみられた新自由主義的な政治文化への転換は、いかにその前の時代から連続し、どのように他国の政治文化の変動と呼応したのか。本研究は、おおよそ1930年代から70年代までの「大きな政府」の時代と、1980年代以降の「小さな政府」の時代への転換として語られるアメリカの政治変化が、実際にはその人的、思想的、文化的連続性とねじれから生じた点に着目し、対抗運動の分析からその内在的変動要因を提示するとともに、グローバルな相互作用を歴史学的に検証する。

研究実績の概要

2023年度はようやくニューヨークでの文書館調査が実現した。本研究プロジェクトの中心的な調査対象であるアメリカ民主社会主義者(Democratic Socialists of America: DSA)の組織成立の起源を知るための一次史料収集を目的に、ニューヨーク大学文書館タミメント・コレクションおよび、コロンビア大学図書館アーカイヴでの調査を行った。DSAは、1980年代初頭にアメリカ社会党系の民主社会主義者組織委員会(Democratic Socialist Organizing Committee: DSOC)とニューレフト系のニュー・アメリカン・ムーヴメント(New American Movement: NAM)が合併して成立した。ニューヨーク大学では、民主社会主義者文書ならびにNAM文書を、コロンビア大学では1970年代終わりから80年代にかけてDSAメンバーであったマニング・マラブルの文書を中心に貴重な史料をデジタル映像に収めることができた。この調査によって1960年代のニューレフトの流れをくむNAMからDSAへの人的、思想的流れをつかむと同時に、当時のパンフレットや参加者の著作など、さらなる一次史料の発掘ができた。現在、これらの史料を二次文献と付き合わせつつ分析し、その成果をまとめる作業を行っている。2024年度中に活字化する意向である。あわせて、本プロジェクトに関連して、1970年代のニューヨーク市立大学のオープン・アドミッション制度の起源を分析した報告を行い、また、アメリカの政治文化史における共産党の位置を論じた中山俊宏『アメリカ知識人の共産党』(2023年)を新聞紙上で書評するなどした。昨年度再開したポピュラーソングから政治文化を論じる翻訳プロジェクトは、2024年度前半に刊行予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本プロジェクト開始から4年目にして初めて現地調査が実現したことからも、史料調査における出遅れが研究分析の進捗度合いに影響を与えている。歴史学的な実証研究においてはその基礎となるプロセスであるため、丁寧に進めていきたい。ただし、史料調査が実現したことで研究対象を位置づける歴史的文脈が明確になったことは大きな収穫であった。

今後の研究の推進方策

本研究プロジェクトの最終年度にあたる今年度は、成果をまとめ発表することを主眼に研究を進める。ただし、現地での調査実施がこれまで1度にとどまることから、史料調査が質、量ともに十分とは言いがたい。そのため、2024年度においても夏期休業中に時間を確保し、現地での史料調査を行う。本研究の関心は、1980年代という新自由主義が台頭し、保守化が進んだ時代において、DSAのような左派の運動がどのように再編され、21世紀へと連なるのかであった。その意味で、マニング・マラブル、バーバラ・エプスタインのような知識人が、1970年代のNAMの時代から運動に携わっていたことは運動の人的連続性という点において重要な示唆を与える。また、2024年大統領選において独立候補者として出馬している哲学者のコーネル・ウェストは、民主社会主義者としてDSAの名誉議長の立場にあることからも、合衆国の政治文化において民主社会主義者が依然として一定の影響力をもっていることがわかる。1980年代を中心に、1960年代から2020年代までを俯瞰した米国左派の歴史を分析的に描くことを目指したい。そのためにも、学会や研究会等で報告して他の研究者からのフィードバックを得ると同時に、計画的な公刊を行う予定である。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2023 2022 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 思想の言葉--歴史教育に万歳二唱2023

    • 著者名/発表者名
      キャロル・グラック(著)、梅﨑透(訳)
    • 雑誌名

      思想

      巻: 1188 ページ: 3-7

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] ポスト冷戦期におけるアメリカの位置:反「帝国」/反グローバリゼーション運動からの試論2022

    • 著者名/発表者名
      梅﨑透
    • 雑誌名

      フェリス女学院大学文学部紀要

      巻: 57 ページ: 31-48

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] アメリカ政治のパラダイム変化はあるか:民主党左派とバイデン政権」2021

    • 著者名/発表者名
      梅﨑透
    • 雑誌名

      国際問題

      巻: 701 ページ: 22-31

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] なぜアメリカに社会主義はないのか/今あるのか2020

    • 著者名/発表者名
      梅﨑透
    • 雑誌名

      立教アメリカン・スタディーズ = Rikkyo American studies

      巻: 42 ページ: 7-30

    • DOI

      10.14992/00018961

    • NAID

      120006844777

    • URL

      http://id.nii.ac.jp/1062/00018961/

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 「アメリカの1960-70年代と大学改革:2つの大学革命の事例から」2023

    • 著者名/発表者名
      梅﨑 透
    • 学会等名
      基盤研究B「1960-70年代の大学改革-大学紛争と大学改革の国際比較研究」(研究代表者:羽田貴史)、2023年度第1回研究会(2023年7月23日)、東北大学東京サテライト。
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「自由」と「憎悪」のあいだで:言論の自由をめぐる1960年代以降の政治文化2021

    • 著者名/発表者名
      梅﨑透
    • 学会等名
      アメリカ学会年次大会、シンポジウム「表現の自由と不自由のあいだ」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] アメリカ政治のパラダイム変化はあるか:民主党左派とバイデン政権2021

    • 著者名/発表者名
      梅﨑透
    • 学会等名
      『国際問題』ウェビナー「『バイデン政権の課題』を論じる」
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 対抗運動から振り返る2020年2021

    • 著者名/発表者名
      梅﨑透
    • 学会等名
      アメリカ政治研究会(オンライン開催)
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] ポスト冷戦期におけるアメリカの位置――反「帝国」/反グローバリゼーション 運動からの試論2020

    • 著者名/発表者名
      梅﨑透
    • 学会等名
      日本政治学会研究大会(オンライン開催)
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] 「ヘイト」に抗するアメリカ史2022

    • 著者名/発表者名
      兼子歩(編)、貴堂嘉之(編)、大森一輝、石山徳子、坂下史子、南修平、和泉真澄、佐原彩子、土田映子、南川文里、梅﨑透、小阪裕城、三牧聖子、川口悠子
    • 総ページ数
      332
    • 出版者
      彩流社
    • ISBN
      9784779128264
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] よくわかるアメリカの歴史2021

    • 著者名/発表者名
      梅崎透(編著)、坂下史子(編著)、宮田伊知郎(編著)
    • 総ページ数
      202
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623091973
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 「みえない関係性」をみせる2020

    • 著者名/発表者名
      福田宏(編)、後藤絵美(編)、帯谷知可、劉玲芳、辻田真佐憲、山崎信一、山本薫、細田晴子、服部倫卓、菊池啓一、梅﨑 透
    • 総ページ数
      244
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      9784000270588
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [備考] 上毛新聞社『連赤に問う』上毛新聞社、2022年。

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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