研究課題/領域番号 |
20K01072
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
佐藤 由紀男 岩手大学, 教育学部, 特命教授 (00552613)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 鉄器加工痕 / 伐採用厚斧 / 続縄文文化 / 骨角器 / レプリカ法 / 生業 / 磨製石斧 / 食生活 / 炭素・窒素同位体分析 |
研究開始時の研究の概要 |
鉄器の西日本から北海道・東北北部への流通・普及の実相の解明については、主に骨角器に残された鉄加工痕の追求から明らかにする。そのために鉄器による鹿角への加工実験を実施し、そのデータをもとに北海道・東北の当該期の骨角器を観察し、鉄器の流通・普及の実相を把握する。 伐採用の厚い石斧(伐採用厚斧)の系譜の解明については、九州から北海道までの当該期資料の製作技法の比較・検討を行う。 食生活の解明については、土器に残された穀物痕や炭化物の分析(窒素・炭素同位体比分析)、煮炊き用土器の容量の分析・検討を行う。
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研究成果の概要 |
西日本から東北北部を経由して紀元前2世紀に北海道に鉄器が搬入された可能性の高いことは指摘されていたが、鉄器の出土例が少ないために、その実態は不明であった。そこで出土例の多い鹿角製の骨角器に残された鉄器による加工痕から、その実態を把握することにした。この時期の鉄器を復元製作して鹿角の加工実験を行い、鉄器加工痕の詳細を把握したうえで、北海道出土のこの時期の鹿角製骨角器を検討した。その結果、複数の遺跡で鉄器加工痕が確認されたことから、相当数の鉄器が北海道に波及していたことが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この研究により、紀元前2世紀に西日本から北海道に相当数の鉄器が波及し、鹿角製骨角器の加工具として使用されていたことが判明した。それは現状の資料による限り、関東・東北よりも早い波及であるが、出土例の少ない鉄器そのものではなく、骨角器の鉄器加工痕の検討から導き出された結論である。よって関東・東北にも鉄器は波及していた可能性は高いのであり、従来の理解に根本的な見直しを迫ることになった。 また東北北部の伐採用の厚手の石斧や雑穀農耕とかかわる資料の検討からは、従来の東北北部と西日本・北海道との関係性にかかわる理解にも見直しを迫る成果を得ることができた。
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