研究課題/領域番号 |
20K01081
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
上峯 篤史 南山大学, 人文学部, 准教授 (70609536)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 弥生石器 / 打製石剣 / サヌカイト / 弥生社会 / 下呂石 / 縄文石器 |
研究開始時の研究の概要 |
石器は時が移れば様々に変化する。生業や物流、イデオロギーの転換が、石器に型式レベル、器種レベルの変化を求め、それに応じて技術も変わる。石器製作技術は、社会・経済の変化を映す鏡なのである。 本研究は、弥生前期中葉以降の武器形打製石器の導入が、旧来の縄文石器をどう変貌させたのかを、技術の変化を起点に読み解く。そして背後にある生産・流通体制や地域間関係がどう変化したのかを解明する。
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研究実績の概要 |
2023年度は以下の3項目の研究に取り組んだ。 研究項目①:ポータブル型蛍光X線分析装置による石器石材原産地推定法の確立_異地性石材の原産地を化学組成分析によって調べる方法は、すでにひろく普及しているが、装置間の互換性が乏しいことや分析者ごとにリファレンスデータが必要であること、組成データにつきまとう統計的課題の回避策が講じられていないなど、方法的な課題を抱えていた。これらの解消と、ポータブル型装置による原産地推定法を模索した。研究の途中経過を日本文化財科学会にてポスター発表し、最終的な成果を『旧石器考古学』に投稿した。これによって、原理的には日本~朝鮮半島で出土した黒曜岩であれば、ポータブル型装置による原産地推定が可能となった。 研究項目②:湯ヶ峰遺跡群の発掘調査_2020年度から着手した岐阜県湯ヶ峰(下呂石原産地)の研究について、2023年度も、遺跡分布調査、地形・地質調査、発掘調査を継続した。新たに火山地質学者をチームに加え、湯ヶ峰の地形・地質調査を進め、下呂石の岩相の多様性と、火山地質との関係について予察的な成果を得た。この成果は査読つき学術誌に投稿中である。発掘調査においては、昨年度に試掘調査した「湯の平」地点の本調査を開始した。良好な黒ボク土層中から、多数の下呂石製剥片や石核が出土した。本研究課題に関わる資料として、現在、整理作業を進めている。 研究項目③:石器群の構造変動史の素描_縄文石器や弥生石器は、相互に、そして旧石器とどのように異なるのか。いかに定義できるのか。相互にはどのように関連しているのか。これは本研究の中核的な問いである。石器製品の変遷のみならず、石器製作を可能にする技術構造の観点から、旧石器から縄文石器、そして弥生石器への変動史を論じた。あわせて、縄文時代晩期の石器群について詳細な分析を試み、弥生化にむかう地域社会の様相を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
室内作業の推進と岐阜県下呂市湯ヶ峰における現地調査の実施、学外研究機関所蔵遺物の調査によって、2023年度の研究目的を概ね達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の3項目の研究を推進する。 研究項目①に関して、近畿地方や東海地方を主な対象に、異地性石材の原産地推定結果を蓄積する。 研究項目②に関して、「湯の平」遺跡の石器解析と、年代決定を目的とした分析に取り組む。 研究項目③に関して、引き続き、関連資料の資料化に取り組む。 以上の研究とともに、本研究の総括を進める計画である。
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