研究課題/領域番号 |
20K01083
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 千葉工業大学 (2021-2023) (財)古代オリエント博物館 (2020) |
研究代表者 |
下釜 和也 千葉工業大学, 地球学研究センター, 研究員 (70580116)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 前期青銅器時代 / 後期銅石器時代 / メソポタミア / シリア / アナトリア / 土器製作技術 / 銅石器時代 / 土器 / 二次的都市形成 / 西アジア / 青銅器時代 / 年代測定 / 物質文化 |
研究開始時の研究の概要 |
メソポタミアを中心とする西アジア古代都市の形成・発展・衰退の諸相は、考古学的にみて未解明の部分が多い。その主な要因は、土器をはじめとする物質文化の変化と実年代との関係の理解が不十分であることにある。古代国家の興亡など文献史料による歴史的事件と考古データとのすり合わせもままならない状況が続いている。 本研究では新出土資料による考古データの獲得と過去の出土資料の検証を組み合せて、物質文化の様相と放射性炭素による年代測定値とを地域的規模で比較し、古代西アジア都市社会の変遷と実像を探るための基準を得ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
令和5年度は主に本研究の基礎となる土器資料の分析を継続した。前期青銅器時代アナトリアにおける都市化に関しては、前3千年紀中頃に轆轤による成形技術を用いた無文土器群が在地の磨研系土器群に加わることが明らかになっていた。その前段階の時期の土器群の様相を詳しく知るために、アナトリア地域の後期銅石器時代土器の集成を行うとともに、キュルテペ遺跡における発掘調査に参加し、前4千年紀の黒色磨研土器群の観察と記録を行った。それと同時に、それらアナトリア銅石器から青銅器時代にかけての変容期の様相との比較対照を行うために、前4千年紀前半にあたる後期銅石器時代シリアのテル・コサック・シャマリ遺跡出土土器について国内の研究機関で資料調査を継続して実施した。さらに、北東メソポタミア地域でも、上記シリアの遺跡と同時代にあたる前5千年紀から前4千年紀の土器資料データを得ることができた。その結果、メソポタミアにおける初期の都市形成が広域で斉一的に始まったとされるにもかかわらず、物質文化には地域社会の文化・技術に根ざした多様性がみられるという研究見通しが得られた。令和6年度以降は、このことがアナトリアなど年代を異にする他の地域の都市形成・展開とどう比較できるのか検討していく。 これまでの研究成果の一部として、都市衰退期の様相を考古学・物質文化・文書資料から考察した発表、都市形成期の土器群の形態技術変化を報告した発表の2件を国際考古学会にて、また後代の都市変容における土器技術の変化に関する発表1件を国内学会にて行うとともに、関連する英語論文も1件公刊された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度はコロナ禍終盤から可能になった国内資料の分析を継続して進めるとともに、国外資料の調査・収集も遅れを取り戻すべく現地治安の状況を勘案して勢力的に実施することができた。ただし、データの取りまとめや考察はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は国内外での資料調査を継続して、補完的なデータを入手しつつ、西アジア各地の比較検証作業を見据えて最終的な研究データの総合的整理を継続していく。さらに、それらの分析データと、都市形成・発展と物質文化に関わる放射性炭素年代とつき合わせて、考古学的な評価と考察を進める。
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