研究課題/領域番号 |
20K01085
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 一般財団法人大阪市文化財協会 (2021-2023) 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪 (2020) |
研究代表者 |
岡村 勝行 一般財団法人大阪市文化財協会, 学芸部門, 事務所長 (70344356)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 埋蔵文化財センター / 考古遺産マネジメント / 国際比較 / パブリック・アーケオロジー / 持続可能な考古学 / 埋蔵文化財 / パブリックアーケオロジー / パブリック考古学 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、世界の考古学において主要な研究分野の一つとなった考古遺産マネジメント研究。考古学、考古遺産が生み出す価値を社会により多く未来に継承するには、現行のシステムについて、俯瞰的かつ批判的な検討が求められる。本研究は、その中核に位置する「埋蔵文化財センター」の分析によって、日本の考古遺産マネジメントの構造を明らかにし、政策提言、諸課題の是正に有効な方法を開拓するとともに、その成果を国際舞台に問うものである。
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研究実績の概要 |
今年度は、コロナ禍によりこれまで困難であった現地調査活動を積極的に実施し、埋蔵文化財センターの実態把握、データ分析、累計化を進めた。具体的には山陰3、東海4、四国4、中国5、東北6など、計24ヶ所の埋蔵文化財センターの現地調査のほか、メールあるいは電話照会により、14件の資料収集を行った。 この結果、次の新しい知見を得ることができた。人口数万~数十万の小中規模都市おける埋文センターのほうが地域の遺跡・考古学情報の中核、発信地としてより機能しており、土日開館も少なくなく、地域住民の利用度が高い傾向にある。2000年代に入ってできた施設は遺物整理作業をシースルー化し、公開性が高い傾向にある。設立当時は考古学、地域の考古学センターの核であったが、その後、歴史系博物館の設立によって、事務・収蔵機能が中心となった埋文センターもある。学校、給食センター、保健センターなどの旧施設を再利用した事例は少なくなく、特に郊外に立地する埋文センターにその傾向がある。重要文化財など重要遺物の保管展示を核として設立された埋文センターは新規建物で、充実した展示施設を備える傾向がある。「郷土資料館」の名称で、実質的に埋文センターと同じ機能を持っている施設がある。 東北については欧州の遺跡マネジメント状況に詳しい海外研究者と国際比較の観点も加えて調査し、帰国後、氏のネットワークを通じて、フランス、オランダ、デンマーク、ノルウェイ、カナダ、英国、アイルランドなどの情報を得た。欧州では、基本、開発事前発掘調査と教育普及(博物館が主)は分離されており、日本の埋文センターのような一体型の施設は一般的でない。ただし、オランダの州レベルには収蔵庫と簡単な展示室が同居している事例があるという。 以上の情報をデータベース化し、国内事例を蓄積するとともに、海外の遺跡マネジメントとの違いを視覚化できる目処を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
調査当初、最終年度(3年目)は埋蔵文化財センターの全体像、国際的な特質について、過去2年間のデータ分析のもとに研究成果を国内外に提示し、修正、追加を経て、完成させる計画であった。しかしながら、当初研究期間の3年間、コロナ禍と重なり、特に1、2年目は外出規制、調査施設の休館、担当者の在宅勤務などのため、実地調査できなかったことが影響し、1年間の期間延長では遅れをカバーできなかった。 これまで資料調査については、文献、ウェブ、問い合わせにより、ほぼ全国を網羅する約200施設の埋蔵文化財センターの基礎的な資料の収集は完了した。また、山陰、東海、四国、中国、東北については、2023年度の現地調査により、着実なデータを得ることができたが、そのほかの地域については、データの精粗があり、資料全体の標準化がまだ不十分で、補完する必要がある。 海外の事例調査については、研究協力者の情報提供により、イングランド、フランス、オランダ、スウェーデンなど欧州主要国の研究者から、それぞれの国の関連情報を随時寄せてもらい、鋭意分析を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
国内の埋蔵文化財センターの全体像を視覚化するため、欠落している九州、北海道地域を中心に、主要な埋蔵文化財センターの実態調査を行い、データベースを完成させる。また、埋蔵文化財センターの設置、修復、埋蔵文化財の活用の推進に大きな影響を与えた文化庁補助金の変遷を追い、約半世紀にわたる、国の関与、役割を明示する。さらに、『文化財保存活用大綱』、『文化財保存活用計画』を分析し、埋蔵文化財センターの位置付け、地域の(考古・歴史・遺跡)博物館、郷土資料館、歴史民俗資料館との関係を明らかにする。 海外の事例について、これまで進めたイングランド、フランス、オランダ、スウェーデンなどの考古遺産マネジメント関係機関の分析、関係論文調査をまとめ、全般的な状況・課題の把握のうえ、類型化を完成させる。さらに各国の代表的な機関・施設について、緊急調査で得られた出土資料の管理、活用、地域のミュージアムとの関係に焦点をあて、具体的なケーススタディとして資料化する。 以上の作業を集約し、当初目標である「埋蔵文化財センター」の全体像、国際的な位置付け、また、日本の考古遺産マネジメントの特質を提示する。
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