研究課題/領域番号 |
20K01089
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山田 俊輔 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (10409740)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 遊動的非農業民 / 卜骨 / 骨角製品 / 国家 / 遊動的非農業民と国家 / 王権 |
研究開始時の研究の概要 |
様々な地域、時代の王権や国家が遊動的非農業民と関係を有していたことが知られている。日本の古代、中世においても天皇と結びつく遊動的非農業民の存在が指摘されている。『古事記』の記載や考古学的研究により、その端緒は古墳時代に遡る可能性が高い。王権や国家にとって遊動的非農業民は不可欠な存在であったと考えられ、王権や国家の本質を考えるうえで遊動的非農業民との関係性の解明は重要な課題である。王権成立以前である弥生時代と王権が成立する古墳時代以後の遊動的非農業民の比較研究、遊動的非農業民と王権、国家との関係に関する史資料、諸研究を集成して検討をおこない、王権と遊動的非農業民の関係性について考察する。
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研究成果の概要 |
本研究では遊動的非農業民、特に海人と関係のある考古資料と考えられる卜骨や骨角製品について南東北から九州までの約600点の資料について実見調査と研究をおこなった。その結果、静岡県静岡市周辺から神奈川県、千葉県をへて群馬県、長野県までを回遊するような人々の存在を想定できるようになった。その成果は2023年5月に刊行された『日本考古学』56号において「関東地方における弥生時代中期後半から後期の卜骨と骨角製品の研究」として公開した。東海地方と関東地方を回遊した集団と西日本の海人集団との関係を探るべく資料調査をおこなったが、共通性よりも差異が目立ち、その関係性をいかに評価するかについては課題が残った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では弥生時代の卜骨、骨角製品の悉皆的な調査研究によって、弥生時代中期後半の稲作農耕に特化した定住集落の出現と同時に広域を遊動する海人集団が現われたことを明らかにした。遊動集団は定住集団が必要とする物資や情報を提供し、定住集団は遊動集団へ農作物を提供するという相補的な関係が弥生時代中期後半に発生したと考えられる。古墳時代以降の王権は遊動集団を統制し、定住集団へ提供する物資や情報をコントロールすることで広域統合社会を実現していったと想定できる。本研究の学術的意義、社会的意義は、これまで注目されてこなかった遊動集団と王権、国家の関係について考古資料の分析に基づいて一定の見通しを示した点にある。
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