研究課題/領域番号 |
20K01103
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
東影 悠 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部企画課, 指導研究員 (60470283)
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研究分担者 |
内藤 元太 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 主任技師 (00838394)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 古墳時代 / 埴輪 / 手工業生産 / 生産組織 / 須恵器 |
研究開始時の研究の概要 |
古墳時代後期の畿内では、他地域に系譜を有する須恵器工人が製作した須恵器系埴輪が認められる。本研究では、三次元画像による「同工品」分析という最新の研究手法により、畿内系埴輪と須恵器系埴輪の生産組織を比較検討する。そして、古墳時代中期以来の伝統的な畿内系埴輪生産組織の強固な基盤がある畿内に、なぜ須恵器系埴輪が展開したのかという歴史的背景を明らかにする。埴輪生産組織は、文献史学が提唱する「部民制」や「上番」との関連が想定され、須恵器系埴輪の畿内への展開は地方から王権中枢への「上番」の実態を示す可能性が想定される。本研究によって考古資料の研究から古代日本の統治システムに実証的に迫ることが可能となる。
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研究実績の概要 |
古墳時代後期の畿内では、他地域に系譜を有する須恵器工人が製作した須恵器系埴輪が認められる。本研究では、三次元画像による「同工品」分析により畿内系埴輪と須恵器系埴輪の生産組織を比較検討し、古墳時代中期以来の伝統的な畿内系埴輪生産組織の強固な基盤がある畿内に、なぜ須恵器系埴輪が展開したのかという歴史的背景を明らかにする。須恵器系埴輪の畿内への展開は地方から王権中枢への「上番」の実態を示す可能性が想定される。このように、本研究は考古資料の研究から古代日本の統治システムに実証的に迫ることを目的とする。 令和4年度は、前年度に引き続き、奈良県で確認されている須恵器系埴輪であり、橿原考古学研究所附属博物館に所蔵されている大和郡山市額田部狐塚古墳出土埴輪の資料化を実施した。額田部狐塚古墳出土埴輪には、円筒埴輪のほか、蓋形埴輪があり、いずれも須恵器系の技術を元に製作されたものであることを明らかにした。適宜、メタシェイプを用いて精緻な三次元モデルを作成し、実測図に変えるとともに、ハケメパターンのデータ化も進めている。 また、畿内における古墳時代後期の埴輪を系統的に整理するとともに、後期の円筒埴輪編年を構築した。後期の円筒埴輪は、従来詳細な製作技術にもとづく編年の構築が課題であったが、突帯の製作技術、底部調整の比率、突帯間隔の標準偏差によって編年が可能であると明らかにし、その成果を埴輪検討会シンポジウム『円筒埴輪の分類と編年』で口頭発表するとともに、同資料集に掲載した。 さらに、須恵器系埴輪との類似性が強い陶邑高蔵寺87号窯出土甑について、メタシェイプをもちいた三次元モデルを作成し、須恵器系埴輪との対比を実施した。その成果については、令和5年度に刊行される『季刊考古学』第163号に掲載する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響によって他機関への資料調査、研究支援員の雇用等に若干制限が生じており、当初計画よりも研究対象資料の資料化に遅れが生じている。ただし、自機関で所蔵する資料の調査を充実させるとともに、他機関資料についてもポイントとなる資料を厳選し、それらの調査については適宜実施している状況である。さらに、研究成果については埴輪検討会シンポジウム『円筒埴輪の分類と編年』及び『季刊考古学』第163号で公表することとし、広く一般に公表することに努めた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度までの研究成果を踏まえ、今後も研究分担者と共同で研究対象資料の三次元データ化と同工品分析を実施していく。令和5年度は、特にコロナウイルス感染症の影響が大きかった他機関所蔵資料の調査を充実させることにより、自機関所蔵資料との対比を行い、総体的な成果のとりまとめに向けて研究を進めていく。研究対象とする畿内系埴輪と須恵器系埴輪それぞれの代表的資料を対象として分析することで、両者の製作技術的特徴・生産組織等について考察し、両埴輪生産から読み取れる歴史的背景を明らかにしていく。
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