研究課題/領域番号 |
20K01111
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
沓名 貴彦 独立行政法人国立科学博物館, 理工学研究部, グループ長 (20574148)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 非鉄金属生産 / 生産関連遺物 / 非破壊分析 / 金 / 銀 / 真鍮 / 負ミュオン / 色付 / 非鉄金属 / 生産関連道具 / 科学調査 / 出土遺物 / 技術史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、室町期をターゲットに遺跡から出土する生産関連遺物や非鉄金属製品を対象として、非破壊を中心とする科学調査を行う。調査方法は、国内各地の遺跡での現地調査と現地調査で確認した遺物を借用して行う詳細調査に分けられる。調査は、生産関連遺物の表面に付着する金属の材質や金属周辺に付着する物質に着目し、その付着状況や遺物形状なども考慮しつつ実施する。非鉄金属製品では、材質だけでなく生産技術を検討しながら実施する。 以上の調査を元に、遺跡と遺物の関係や生産関連遺物の形状と使用内容との関係、非鉄金属材料と製品との関係などから生産技術の変化や伝播を検討し、室町期における技術革新を探る。
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研究実績の概要 |
本研究は、中世室町期の非鉄金属生産技術における革新的変化について、生産関連遺物や製品に着目して非破壊調査を中心に現地調査・借用による詳細調査を実施し、室町期の非鉄金属生産技術変化の解明を目的としている。比較検討のため、現地調査とともに詳細調査は、前後の時期の関連資料についても行っている。 今年度は、現地調査として、青森県、及び福岡県の遺跡出土遺物について実施した。その結果確認した遺物については、次年度の借用調査を行う予定でいる。前年度までの現地調査で確認した生産関連遺物は、借用による詳細調査を引き続き実施した。京都市内の各遺跡では、金銀や銅合金生産に関する遺物を現地調査で膨大な数量を確認したため、その一部について借用による詳細調査を行い、様々な知見が得られている。青森県内遺跡についても、借用を行い詳細調査を実施している。また、沖縄県首里城における非鉄金属生産に関して得た成果について、日本文化財科学会で報告を行った。 茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARCでの負ミュオンを用いた非破壊深さ方向分析では、沖縄県首里城出土の金製品”厭勝銭”について、蛍光エックス線を用いた非破壊分析から各資料で金濃度の差異が大きくみられたため、主な濃度について深さ方向の金銀濃度分析を行った。その結果、金濃度が高い資料から低いものまで内部に比べて極表面部の金濃度が高いことから、いずれの濃度の資料も表面処理が行われていることを確認した。中世琉球で本表面処理を確認したことは、本技法の源流や伝播を考える上で非常に大きな成果といえるため、日本文化財科学会で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度も、現地調査とともに借用調査によって各遺跡の非鉄金属生産の解明を行っている。研究は順調に進展しており、成果は国内外の学会発表や論文とともに、一般の方々への講演会で、紹介を行うことができている。 J-PARCでの負ミュオンを用いた非破壊調査も順調に進展しており、シンポジウムや専門学会でその内容を紹介するだけでなく、文化財への本調査技法普及のための提言を学会等で行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も本研究の研究概要に基づき、現地調査と詳細調査を並行して実施する。 調査対象となる資料の時期は、室町期を中心としつつ前後の時期についても生産技術の変化を比較検討するために調査対象に含み、幅広く設定する。調査資料の地域についても、東西南北いずれかに偏ることなく全国各地を幅広く注視し、資料確認も継続する。 加えて、J-PARCなどの大型実験施設での調査では、各研究機関と連携を図り、新たな調査手法の開発や異分野融合研究への貢献も、重視する。
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