研究課題/領域番号 |
20K01119
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
後藤 忍 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (70334000)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 福島第一原発事故 / 伝承施設 / 記憶の文化 / 原子力・放射線教育 / テキスト・マイニング / アンケート / メモリアル博物館 / 博物館教育学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、2011年に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を伝えるために、主に福島県内で整備・計画されている施設(メモリアル博物館、分散型記念碑など)や、行われている原子力・放射線教育(学校教育、語り部活動など)の特性を調査することにより、原発事故に関する「記憶(想起)の文化」の形成構造を明らかにするとともに、より良い「記憶の文化」の形成に資することを目的とする。 その際、ドイツを中心に広がりつつある「記憶(想起)の文化」の概念を参照する。また、研究手法として、施設の展示説明文のテキスト・マイニングや感性解析、来館者へのアンケートなどを用いて、定量的・客観的な分析を行う。
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研究成果の概要 |
2011年に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を伝えるために、「記憶(想起)の文化」の概念を参照しながら、①伝承施設の展示内容の調査・分析、②パネル展の実施と来場者アンケート、③大学生の知識や認識についてのアンケートを実施した。①では、「東日本大震災・原子力災害伝承館」等の展示内容をテキスト・マイニングや感性解析の方法で定量的・客観的に分析し、記録・継承が不十分な情報を明らかにした。②では、独自のパネル展を開催し、来場者の認識に与える効果を把握した。③では、福島大学生と宇都宮大学生を対象に調査し、放射線被ばく等に関する知識の定着度は必ずしも十分ではない等の課題を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
第一に、福島第一原発事故の教訓を伝えるために新しく整備された施設の展示内容の特徴を定量的・客観的に明らかにした点である。これまで、原発事故に関する伝承施設を対象にテキスト・マイニングと感性解析の方法を使って定量的に分析した研究は行われておらず、独自性と創造性を有していると考える。筆者の指摘内容のいくつかは、実際の展示の更新で反映された。第二に、ドイツを中心に見られる「記憶の文化」の概念を踏まえて特徴を指摘した点である。「対話的に忘れること」を批判しつつ、「決して忘れないために想起すること」に注目し、「倫理的な記憶の文化」を重視して、福島第一原発事故の教訓の継承における改善の方向性を提示した。
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