研究課題/領域番号 |
20K01124
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
井上 由佳 明治大学, 文学部, 専任准教授 (90469594)
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研究分担者 |
駒見 和夫 明治大学, 文学部, 専任教授 (20225577)
梨本 加菜 (久保内加菜) 鎌倉女子大学, 児童学部, 教授 (60389880)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 博物館 / 学芸員 / 学校図書館 / 学校司書 / 事前授業 / 小学校 / 教科書 / ミュージアム / 図書の時間 / 授業・教材開発 |
研究開始時の研究の概要 |
日本には約5700館もの博物館が存在するが、一般の人々にその内実はよく知られていない。調査によれば、学芸員資格を取得見込みの大学生の4人中3人は高校生になるまで学芸員の存在を知らなかった。この事実から日本の義務教育課程では博物館や学芸員について学ぶ機会がほとんどないことが示唆される。 本研究は、この現状を改善するために、①教科書や学校図書館の所蔵図書で関連する内容を精査してデータベース化し、②小学校の図書の時間を活用し、博物館や学芸員について学ぶための教材を開発する。開発には学校司書、複数館の学芸員、研究者が共同して取り組み、その実践をアンケート調査で検証する予定である。
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研究実績の概要 |
本年度も二つの研究プロジェクトを並行して遂行してきた。 一つ目が小学校教科書の記述調査であり、国語、社会、理科、生活、図工、音楽、外国語の各教科から、全国ならびに関東甲信越地方の教育委員会で多く採択されている主要な教科書を抽出して調査した。教科書本文の記述や写真、奥付の中で博物館と学芸員というキーワードの記載状況を調べた。その結果「博物館」という名称以外にも「~化石館」「~川流域センター」「~ふるさと館」といった多種多様な名称が博物館とその類似施設につけられており、教科書にも登場していた。また学芸員という表記はほとんど登場せず、「館長」や「~館の人」といった表記の方が多かったことも判明した。小学3年社会科では副読本の利用が目立ち、先行研究でも副読本の現状把握がほとんどされていないことも分かった。現在、教科書からのデータを精査して整理し、教員や学校司書に役立てられる形で公開できるように準備している。 二つ目が小学校の学校図書館を活用した授業実践である。一つは、東京都杉並区立沓掛小学校で国立科学博物館に行く6年生と杉並区郷土博物館に行く3年生に向けた出前授業を実施した。対象となった学年の担任、学芸員、博物館学を学ぶ大学院生と学校司書、そして研究者が授業内容を話し合いながら決め、実施に至った。また、新潟市の小学校でも、学校司書が中心となり「図書の時間」を活用した「図書館スペシャル」という授業の中で水族館等を紹介する実践が展開された。ミュージアム見学前に見学を想定した事前授業が実施されることで、児童の見学への動機付けができること、学校図書館と連携することで、全体のコーディネートを円滑に進められる上に、事後アンケートの実施なども可能となった。児童も図書館に博物館の関連図書があることを知る機会となり、連携のメリットが生まれている。最終年度は、これらの成果をまとめて広く報告していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教科書調査ならびに授業実践共に予定のペースで実施できたことから。教科書調査のデータ整理に時間がかかっているが、正確性と利便性の向上のためであり、しっかり進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
小学校の教科書調査については、入力されたデータの精査と整理、画像データの確認と整理を行い、現場の先生方の使い勝手のよい形で公開に向けて準備していく。 小学校における実践については、これまでの科学館、郷土博物館を対象としたものが実施できた。今後は他の小学校での実践可能性も含めて、検討していきたい。 今年度は学会で発表を予定以外にも、研究報告会を実施する予定である。
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