研究課題/領域番号 |
20K01131
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03070:博物館学関連
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研究機関 | 神奈川県立生命の星・地球博物館 |
研究代表者 |
瀬能 宏 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (80202141)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 標準和名 / 生物学史 / 教育学史 / 魚類分類学 / 本草学 / 洋学 / 明治時代 / 江戸時代 / 科学教育 / 科学史 |
研究開始時の研究の概要 |
生物の学術的日本語名(=標準和名)には、異名や音揺れによる不統一、差別的語に起因する不使用や言い換えなどの混乱がみられるが、その解決は容易ではない。和名には長い歴史があり、その経緯を明らかにしなければ安易に変更するべきではないとする意見が根強いからである。本研究では和名がどのような歴史的経緯を経て成立したのかを解き明かし、学術界に分野横断的な命名ルール制定の機運を高めることを目的として実施する。
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研究成果の概要 |
生物に与えられている標準和名のルーツは、平安時代の名物学上の和名まで遡ることができる。江戸時代になると中国から導入された本草学が基礎となり、日本独自の本草学やそこから派生した物産学、さらには博物学的な著作活動が活発化し、様々な生物に和名が与えられるようになった。一方、江戸中期に西洋から導入された蘭学は、生物分類学の概念の理解を促進し、属や科、目、綱といった高次分類群名の創出の基礎となった。明治維新を迎えて日本に学制が公布されると、教科書の編纂が本格化し、幕末に乱立していた名称や用語の統一の必要性が求められるようになった。ここに標準和名の概念の萌芽を見ることが出来る。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生物の標準和名は、分類単位に固有な日本語名であり、学術界はもとより教育や行政、法律の現場において対象生物についての共通理解を得るためのキーワードである。ところが生物には異名や同名、音揺れ、差別的語などの混乱がみられる。解決には名称の統一や改名が必要だが、和名が歴史的所産であることを理由に消極的な立場の人が多い。本研究は現在我々が使っている標準和名のルーツがどこにあり、その概念がどのような経緯や背景のものとに成立したのかを解き明かした。この成果は学術界に分野横断的な命名ルール制定の機運を高めるだけでなく、生物学史や教育学史を和名の史的変遷という観点から理解する視点を新たにもたらす。
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