研究課題
基盤研究(C)
地すべり地形分布図や活断層図はわが国の防災を考えるうえで必須の学術資料である.しかしながら,これらの図を作成してきた熟練研究者の高齢化が進むとともに,地形判読を得意とする若手研究者の減少も進んでいる.高度な判読技術を効率的に後進に伝える教材が求められている.本研究は,これまで地形学で扱われることのなかった生体計測技術のひとつであるアイトラッキング(視線計測)とアスキングにより,熟練研究者が判読過程で地形の“なに”をみて“どのように考え”判読しているのか解析し言語化する.そして,蓄積された知見をもとに熟練研究者の判読プロセスを追跡する地形判読教材を開発する.
地すべり地形分布図や活断層図は防災を考えるうえで必須の学術資料である.しかしながら,これらの図を作成してきた熟練研究者の高齢化が進むとともに,地形判読を得意とする若手研究者の減少も進んでいる.高度な判読技術を効率的に後進に伝える教材の作成が求められている.本研究は地形学で扱われることのなかった生体計測技術であるアイトラッキング(視線計測)とアスキングにより,熟練研究者が地形判読を行う過程で地形の“なに”をみて “どのように考えているのか”解析し言語化することを試みた.そして,蓄積された知見をもとに熟練研究者の判読プロセスを追跡する地形判読教材を開発することに挑戦した.研究当初は新型コロナウイルス感染症の影響を受け遅れたが,2022年度からはアイトラッキングを用いたデータの収集が進んだ.これには大学研究予算等とも組み合わせ学内にアイトラッキング実施環境の整備がなされたことも大きい.所属研究室内でデータの解析も含め対応できるようになり,地すべり地形および変動地形の判読プロセスのデータ収集を進めた.2023年度は淡路島やキルギスのチュー川盆地南縁の変動地形の判読プロセスのデータ収集を進め動画教材も作成した.地すべりに関してはタイを対象に作成した地すべりハザードマップを研究者(ハザードマップ非作成者)がどのように視て改善点がないか評価する取り組みも行った.また,地形判読図を作成した現場にアイトラッキングシステム一式を持ち込み,現地の地形および地質を専門家がどのように読み解くか記録する試みにも挑戦した.これは平成24年7月九州北部豪雨で崩壊が多発した阿蘇市の山間部,平成30年7月豪雨によって崩壊および土石流が発生した松山市の山間部,また,令和6年能登半島地震によって大規模地すべりが発生した輪島市の山間部などで実施された.今後,ここで得られたデータを公表・活用していくことが期待される.
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Journal of Disaster Research
巻: 16 号: 4 ページ: 618-625
10.20965/jdr.2021.p0618
130008047397