研究課題/領域番号 |
20K01155
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
大西 宏治 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (10324443)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 通学 / 下校 / 位置情報 / 児童 / 活動空間 / 登校 / 徒歩通学 / 安全 / 通学路 / 登下校 / 屋外空間 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,1)GPSで小学生児童の通学時の位置情報を取得し,通学路の物理的・社会的環境を空間的視点から可視化し分析すること,2)通学路の空間の質と量が児童の屋外での遊び活動や環境認識に与える影響を明らかにすることである。調査方法は,GPSを用いた行動軌跡の分析と児童に対する屋外活動についてのインタビュー調査を実施する。さらに,通学路の物理的環境も整理する。これらのデータを組み合わせて通学路の空間を多面的に検討する。
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研究実績の概要 |
今年度は富山市内13の小学校について、富山市がスマートシティセンサーネットワークで収集した登下校の児童の位置情報のデータを活用し、児童の登下校の特色を分析した。富山市のセンサーネットワークで捕捉される児童の位置はランドセルの位置であり、下校後の行動としても、帰宅してランドセルを置いた後の子どもの活用空間は把握できない。しかしながら、(1)登下校とも児童の流動に変化がない地区、(2)下校時に経路は変化がないが、滞留が増加する学校区、(3)下校後に活動空間が拡散する学校区と、今回調査した地域については大きく分けて3種類の下校のパターンに分類できることがわかった。 これらの下校パターンの発生要因は、(A)富山市中心部からの距離、(B)新興住宅地の立地などで説明ができる。中心部には多様な習い事などが存在する。中心部の近隣の場合、帰宅後に次の活動を開始できるが、その周辺は学校から直接、それらの活動に出かけることから、下校後に活動空間が多様となる。さらに遠方では遠い地域への習い事を選択する機会が減少し、多様な活動が減少すると考えられる。また、新興住宅地は中心部の縁辺に隣接して位置することが富山市では多い。新興住宅地では共働き世帯も多く、学童保育のニーズが高い。学校区内で就業時間内の保育をまかなえない場合、学校区外へ学校から直接移動して学童保育を利用することから、今回把握された児童の流動を理解することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
富山市での児童の登下校に関する位置情報を活用し、児童の登校、下校の空間を可視化することができている。また、今年度、データを整理した学校に関して、下校時の拡散について検討し、その理由についての説明を試みることができた。以上から、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はさらに事例校数を付け加えるとともに、登校についての児童の位置情報の分布からわかる地域的な特徴の把握とその一般化した説明の検討、同様に下校についての児童の位置情報を用いた分析を行う。下校については、その拡散パターンに多様性がみられることから、その多様性の様態とそれらの形状の発生要因を分析することで研究を進めたい。 また、地域の人口特性や流動データなどのビッグデータとの連係については、これまで十分に行ってこなかった。データの制度が高い学校区などを活用して、さまざまな地理空間の流動を表すデータと児童の登下校の間の関連性を分析したい。あらに、児童が下校時に友人と多様な活動を行う可能性がある地点を、滞留を表すデータを活用しながら分析する。
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