研究課題/領域番号 |
20K01158
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
遠城 明雄 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (00243866)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 社会資本 / 地方都市 / 統治 / 社会地理学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1920年代から30年代にかけての日本の地方都市(下関市、呉市、長崎市、佐世保市、仙台市など)において、都市社会問題に対処し、また都市開発のために建設された社会資本をめぐって発生した諸集団(行政、政治家、企業、地域住民)間の対立と協働の社会・政治過程を明らかにすることを目的とする。この作業を通じて、急速な都市化と大衆化が進んだ当該期における、「公」と「共」と「私」の関係性の特質とその構造転換についても考察を深めたい。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本の地方都市における社会資本の整備と統治をめぐる諸集団の社会・政治過程を分析することにある。本年度は主に以下の作業を中心に研究を進めた。 1. 大正後期の福岡市における市長の選出過程を調査し、地方都市における行政による統治の変化について検討した。従来市長は地元有力者の「個人的な縁故」によって選出される場合が多かったが、社会資本の整備が本格化するなかで、新たなタイプの市長が求められるようになり、内務官僚が市長に就任した政治過程を明らかにした。 2.昭和初期の福岡市と周辺町村の合併交渉を調査し、社会資本の整備状況や地域住民の意向などが合併交渉にもたらす影響を分析した。合併委交渉委員の選出をめぐって地域内部に対立が生じており、内務省が調査を行っていたこと、合併に際して新たな社会資本整備が最も重要な交渉条件になっていたことなどから、合併と社会資本整備の関係をある程度明らかにすることができた。 3.大正期の下関市と周辺農村との屎尿汲み取り料値下げの問題について調査を行い、この問題が行政と地域住民との関係に与えた変化、およびそれ以後の社会資本整備の進展に与えた影響などを明らかにした。 4.地域の近代化や不均等発展、「開発」における公・共・私の関係性の変化といった問題に関して、フランスにおける社会地理学研究、特にルネ・ロッシュフォールやアルマン・フレモンの研究の再検討を行なった。前者の場合、経済、社会、政治、心性の関係性という視点から地域の近代化を考察する視点を開拓していたことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナにより、当初予定していた長崎県長崎市と佐世保市、広島県呉市に関する資料の調査と収集が遅れており、当初予定していた研究計画からやや遅れている。その一方で、理論研究の再検討については予定通り進んでいるほか、これまで資料収集を終えている福岡市や北九州市に関する研究についても、予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
調査の遅れている長崎市、佐世保市、呉市について、できるかぎり資料調査を進める。それは困難になった場合は、調査対象地を長崎県の二市に絞ることを検討する。また福岡市、北九州市、下関市に関しては、継続して資料分析を行い、追加の資料調査を実施する。また社会・政治地理学の研究動向の検討については、国内外の学界で研究発表と意見交換を行い、その視点をより深めていく。
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