研究課題/領域番号 |
20K01172
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
前田 洋介 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (10646699)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ボランタリー組織 / NPO法人 / 都市構造 / 家族 / 緊縮財政 / 地方圏 / 市民協働 / 村落 / NPO |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は成熟期を迎えつつある日本のボランタリー組織の空間的特徴について、特に①高層マンションの増加をはじめとする都市の変化、②ジェンダー役割や家族のあり方といった社会の変化、③緊縮財政(austerity)の常態化といった政治経済の変化の3点に着目して明らかにするものである。
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研究実績の概要 |
本研究は,成熟期を迎えつつある,現代日本におけるNPOやボランティア団体をはじめとするボランタリー組織の空間的特徴について,都市・社会・政治経済の変化に着目して検討するものである. 本年度は,①本研究で作成したNPO法人のデータベースから読み取れる,ボランタリー組織の空間的特徴の背景についての分析,及び②地方圏におけるボランタリー組織の設立や活動の展開に関する分析を中心に研究を進めた. ①については,データベースから,岩手県や宮城県など,東北地方の太平洋側では,東日本大震災以降にNPO法人の設立が増加したことが確認できていたが,この点に関して,岩手県内のNPO法人へのインタビュー調査やボランタリー組織に関する資料を収集し,団体の設立の特徴について分析した.②については,東京都三鷹市の事例を参照しながら,市民参加型の市民協働に関する施策を比較的早い時期から実施していた長崎県佐世保市において調査を進めた.具体的には,2000年代以降の市民協働の施策の特徴や変容について,ボランタリー組織のキーパーソンや市役所の職員など5名のインフォーマントへのインタビュー調査結果や,市民活動の拠点の観察結果や収集した資料をもとに分析を進めた.その結果,2000年代における市民参加型の会議で形成された官民を超えたネットワークが,市民協働やボランタリー組織の黎明期や成長期を支えていることが明らかとなった.他方で,近年においても,ボランタリー組織をめぐっては,新たな組織・ネットワークの設立や,新たな活動の展開がみられる一方で,市民と行政との協働の性質に変化がみられることが確認できた. 今年度は,比較的研究蓄積の少ない地方圏のボランタリー組織について多くの成果を得ることができた.次年度は,大都市圏においても調査・分析をすすめるとともに,成果の論文化に努める.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は,NPO法人のデータベースから示される,東北地方におけるボランタリー組織の空間的特徴の背景についての調査・分析に加え,インフォーマントの協力もあり,佐世保市における調査・分析をはじめ,地方圏のボランタリー組織に関する研究を,予定以上に順調に進めることができた.こうした成果の一部は,学会発表とともに,論文(投稿中)としてまとめることができた.しかし,新型コロナウイルス感染症の影響により,当初は2年目から実施予定であったインタビュー調査が最終年度である昨年度からの実施となるなど,遅れが生じていたが,本年度中にこうした1年目・2年目の遅れを取り戻すまでには至らず,大都市圏のボランタリー組織の分析と研究の総括は翌年度に持ちこすこととなったため,総合的には,「(4)遅れている」と自己評価した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度はボランタリー組織の設立や活動の展開について,大都市圏において調査・分析を進めるとともに,地方圏においても補足調査・分析を進めていく.大都市圏の事例については,当初の計画通り東京大都市圏を予定している.その後,ボランタリー組織の設立や活動の展開に関する定性的分析の結果と,本研究で作成したNPO法人のデータベースとを統合し,現代日本におけるボランタリー組織の空間的特徴について総合的な分析・考察を行い,最終的な結果を導出することを目指す.また,分析の結果は適宜,学会発表を行うとともに,論文化することを目指す.
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