研究課題/領域番号 |
20K01181
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
河原 典史 立命館大学, 文学部, 教授 (60278489)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | カナダ / ガーディナー / 新渡戸庭園 / 庭園請負業 / 山本宣治 / 角佐六 / カナダセンサス / グランドフォークス / バンクーバー / キツラノ地区 / 弓ヶ浜半島 / 足立儀代松 / 鳥取県出身者 / 連鎖移住 / バンクーバー大都市圏 / 日本人 / 庭園・造園業 / 技術革新 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はカナダにおける1960年代以降の日本人ガーディナー(gardener:庭園・造園業者)の歴史的展開について、民族産業としての成立と発展について考察する。特に、戦前からのバンクーバーとその郊外における日本人移民、ならびに戦後の帰加2世や新移住者による庭園業から造園業への展開について検討する。その際、アメリカからの新しい機器の導入、それにともなう顧客圏の拡大、天候や季節的作業の制約からの脱却などに焦点を当てる。さらに、補助作業員となるインド・ベトナム系移民だけでなく、養樹業を担うオランダ系や石材業の中国系などとの関係から、カナダ西岸における庭園・造園業の成立と発展について明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度の研究成果の1つは、1960年にバンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学に造園された新渡戸庭園をめぐる資料を収集・整理である。図版41枚・古写真179枚を収めた資料集『ブリティッシュ・コロンビア大学 新渡戸稲造記念庭園』(A4縦・189頁)を作製した。古写真のなかには、1959年の作庭において鳥取県出身の角知道をはじめとする日本人ガーディナーや、彼らを指示する千葉大学教授・森勘之助の様子も写されている。背景の池に眼を移すと、岸には大きな石が並べられている。現在では水際まで芝生が敷き詰められており、大きく印象が異なる。これは1994年に桝野俊明(現・多摩美術大学教授)の意匠によって大規模な改築が行われたからである。このように本研究によって明らかになった諸点、そして資料集の分析を深めると、1930年代に作庭された旧・新渡戸庭園、1960年代の新・新渡戸庭園、そして1990年代に改築された現・新渡戸庭園、すなわち3代に渡る新渡戸庭園の変遷が明らかになる。 2つ目の研究成果は、20 世紀初頭のバンクーバーにおける日本人ガーディナーの諸相について明らかにしたことである。当時、白人宅での家内労働における雑用の 1 つとして、料理とともに庭仕事があった。そのため,先に白人宅での家内労働に就いていた中国人と同様、その労働はあくまでも成功への前段階とされてきた。そのようななか、富豪のアーネスト・エヴァンス(Ernest Evans)邸の園丁長であった広島県出身の角佐六と京都市出身の山本宣治は,多くの日本人ガーディナーを雇用し、特定のガーディナーを常時雇用することのない白人邸宅を週に 1、2 日ほど巡回するという庭園請負業を試みた。当時のバンクーバーでは組織化された日本人ガーディナーの活躍が萌芽していたのである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度に引き続き、2022年度もコロナ禍のためにカナダでの調査が不可能であった。そのため、第二次世界大戦後におけるガーディナーの活動に関わる新しい資料の発見・収集や、日本人ガーディナーへの聞き取り調査ができなかった。したがって、前年度に引き続いて戦前の史資料の再検討を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には、ようやくカナダでの調査を再開する。バンクーバー日系ガーディナーズ協会の会員、とくにシニア層からのインタビュー調査を実施する。そのとき、彼らが所有している顧客名簿や作業日誌などの縦覧を行なう。
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