研究課題/領域番号 |
20K01189
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
吉田 優貴 (古川優貴) 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (60737063)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | フィールドワーク / オンライン/オンサイト調査 / 身体相互行為 / 音楽経験 / 身体観 / 「人種」 / 「民族」 / 自他認識 / 人間観 / 集団化の指標 / 身体相互行為態 / 聾/聴者 / ケニア / ヴィジュアル・メソッド / コミュニケーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ケニア国内の寄宿制初等聾学校および、同敷地内に併設されたいずれも寄宿制の中等聾学校、聾者・聴者混合の職業訓練校に住み込んで調査を行い、ケニアの聾者と聴者の「身体相互行為態」について民族誌的に明らかにする。 同じ居住空間で聾者と聴者がいかに協働的な生活をし、共に教育を受けているのか探究することで、異なる言語使用者同士が居合わせる場での相互行為のあり方について新たな知見を得る。
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研究実績の概要 |
フィールドワークの実施がまだ困難な状況にあったため、資料収集と口頭発表という形での発信をおこなった。口頭発表のうち一つは、これまでの調査研究の蓄積に基づき、ケニアの聾児のダンスを例に「五感を包摂する音楽経験」というタイトルで発表した。その中で、ケニアの聾児の躍りを議論の出発点にしつつ、聴者も経験できる、聴覚に必ずしも依存しない音楽的事象を紹介した。そのうえで、音楽経験を、アリストテレス以来の五感概念に基づいて捉えるのではなく、五感を包摂する経験として捉え直すことを試みた。 もう一つは、異分野の研究者たちと改めて「フィールドワーク」という営みについて考える企画で発表をおこなった。霊長類学、言語学、歴史学の研究者とともに、それぞれのフィールドワークのあり方を紹介しつつ、他分野の調査研究方法を自分の研究に部分的に取り入れる可能性を模索した。人類学の立場である私からは、(1)フィールドワークは一般化できる営みではなく、その人でないとできない(成り立たない)営みになるということ、(2)フィールドワークでは新たにどんな課題を見つけられるかが重要であること、(3)身体相互行為を「記録」するにあたり、ビデオカメラや動画注釈アプリELAN等を使えば使うほど、フィールドの調査協力者のみならず調査者である自分の「生」から遠ざかってしまうジレンマ、(4)ケニア国立公文書館で収集した資料の整理法について他分野(特に歴史学)から助言を求める、ということをおこなった。この研究会1回で結論が出る課題ではなく、今後も深めていきたいと考えている。 また、ろう者の音楽をテーマにしたアート・ドキュメンタリー映画『LISTEN リッスン』上映から5年を経て、それにさまざまな形で関わった人たちが論考やコラム等を寄せた一般書『『LISTEN リッスン』の彼方に』に、コラムを寄稿し、2023年5月に論創社から刊行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍等によりケニアでのオンサイト・フィールドワークが困難であり、またオンラインでのフィールドワークでは身体相互行為に関する「参与観察」は難しく、実現に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1年間研究を延長し、オンライン/オンサイトのフィールドワークを企図し、準備を進めている。
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