研究課題/領域番号 |
20K01191
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
神原 ゆうこ 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (50611068)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ポピュリズム / 市民社会 / 文化人類学 / 感情 / 理性 / 中東欧 / 市民的理性 / NGO |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では主として中東欧諸国のポピュリズムの状況を参照しながら、特定の政治的傾向をポピュリズムと名指す「市民的理性」というべき価値観に注目し、その多様性と動態を明らかにすることを目指す。具体的には、主としてスロヴァキアでのフィールドワークを通して、ポピュリズムとそれへの対抗について、地域レベルでの実態を把握し、その土地の「市民的理性」の形成過程を明らかにする。そのうえで、他地域をフィールドとする研究協力者とともにポピュリズムについて、特定の地域を超えて比較可能な文化人類学的視角を検討する。
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研究実績の概要 |
人類学者にとって、ポピュリズムは普通の人々が関わるものでありながら、対象として正面からは扱われにくいものである。そこで、本研究ではポピュリズムを名指す力を持つ「市民的理性」に注目し、その多様性と動態を明らかにすることを目指している。具体的には、中東欧のポピュリズムとそれへの対抗運動について、地域レベルでの実態を把握したうえで(目的Ⅰ)、「市民的理性」の形成過程を明らかにする(目的Ⅱ)。そのうえで、ポピュリズムについて、特定の地域を超えて比較可能な文化人類学的視角を検討(目的Ⅲ)することで、当該テーマに関する文化人類学的研究の基礎を構築することを目的としている。 目的Ⅰ、Ⅱについては、2023年度は、2020年度、2021年度に実施困難であった現地調査の遅れを取り戻すべく、スロヴァキアでの現地調査を進めた。近年のスロヴァキアでは、長引く戦争の影響を受け、親ロシア寄りの主張をする政治家が支持が拡大しつつある。そのような状況下で、首都やウクライナ国境に近い東部の都市で、ウクライナからの避難民支援を続ける市民団体やキリスト教系団体に聞き取り調査を行った(9月、3月)。キリスト教系団体の活動については、この地域の宗教研究者とともに、成果を宗教と社会学会やロシア・東欧学会で発表を行い、重要なコメントを得ることができた。 目的Ⅲについては、7月に京都でレイシズムやナショナリズムにテーマを広げて研究会を実施し、ポピュリズムを支える周辺概念の理解を深めた。さらに、中東欧の非リベラル化についてカナダの文化人類学者Ivan Kalmarが論じた著書、White but not quite: Central Europe's illiberal revoltの翻訳に加わり、これまでの知見を活かし、翻訳および訳者解説を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度もスロヴァキアでのフィールドワーク調査を進めることができた。ウクライナからの避難民に関連する話題は、時事的に素早い公開が望ましいので、成果報告の機会を逃さないようにしている。また、マイノリティやフェミニストも、スロヴァキアのポピュリズムへの対抗運動の担い手は、現地のポピュリズムの注意深い観察者でもあるため、聞き取り調査を行ってきたが、その成果を一般書として部分的に生かす機会に恵まれたので、アウトリーチにも努めることができた。その一方で、本来の目的から外れないように、幅広く学説史を押さえたり、隣接する理論の研究も並行して実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、これまでの調査で成果のうち、速報性を重視したほうがよい部分については、いちはやい公開に努めてきた。しかし、2024年度は科研の最終年度であるので、フィールドワーク調査の遅れを取り戻すと、投稿を目指したい。
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