研究課題/領域番号 |
20K01196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
岩田 重則 中央大学, 総合政策学部, 教授 (20272619)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 両墓制 / 無墓制 / 仏教民俗学 / 無位牌葬送儀礼 |
研究開始時の研究の概要 |
本申請研究が対象とする無墓制と無位牌葬送儀礼では、石塔墓地が存在せず、さらには、祖霊信仰の代表的表象である位牌が存在しない場合が多い。一般的に、日本の墓制及び葬送儀礼で認識される祖霊信仰の対象が見あたらないのである。そこで、本申請研究では、無墓制と無位牌葬送儀礼についてのフィールド調査・研究により、それらを仏教的死者供養として明らかにすることを目的とする。この目的による本申請研究を達成した場合、民俗学分野内の通説とされてきた「固有信仰」としての祖霊信仰論に再考をうながし、祖霊信仰もが仏教との習合による形成を仮定することができ、日本人の霊魂観研究の進展に寄与できるものと考えている。
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研究実績の概要 |
2022年度のこの申請研究は、申請者の私的事情によるが、実母の介護と他界により、調査・研究のために十分な時間をとることができなかった。それでも、滋賀県の湖東・湖南の地域を中心として、両墓制と無墓制についての、調査・資料収集を行なうことができた。この申請研究を計画した時点で、両墓制と火葬をともなう無墓制との間には関連性があるのではないかと推測してきたが、それについて、その仮説はおおむね確認できるのではないかと考えられた。また、両者とも、従来定説となっていた日本の固有信仰ではなく、仏教民俗としての性格が濃厚であり、一般的に民俗事象を固有文化のごとく理解する学問的潮流、思考様式についても、疑問を投げかけるものと考えられた。 両墓制については、1930年代以降の長い研究史において理解されてきたように、その埋葬墓地の形式が、その区画内であれば無秩序である場合と、家別、死去順など秩序のある場合とがあり、これらについても、留意してきた。無秩序か秩序か、どちらが両墓制の基本的様式であるのか、それが課題となるわけであるが、現時点では、その回答を得ることが難しく、2023年度の調査・研究で、これを継続していきたいと考えている。 無墓制については、それが浄土真宗地域に濃厚であり、他宗派では少ないことが、今回の調査・研究によりおおむね理解できるようになった。この事実が、両墓制とどのように関連するのか、それが今後の課題のひとつでもある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この申請研究は、2020年度からのものであるが、ちょうど新型コロナウィルスの影響により、フィールドワーク、調査が難しい時期も長く(調査地、被調査者への配慮も必要)、充分な調査を行なうことができなかった。また、私的事情によるが、2021年春ごろから高齢の実母の介護が本格的となり、2022年7月末他界した。この介護とそれにともなう多様な実務のために、調査・研究のために時間を割くことが難しかった。 このような状況が継続したために、調査・研究の進捗は遅れざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、この申請研究には遅延があるが、2023年度はこれを挽回すべく、フィールドを滋賀県・愛知県・三重県・静岡県に絞り、固有信仰ではなく、仏教民俗としての両墓制と無墓制についての論証につとめるべく、調査・研究に努力していきたい。 2023年度は延長申請によるので、調査・研究の幅を広げず、これまでの調査地の継続調査、補充調査などにつとめ、成果をまとめることができるようにしたいと考えている。
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