研究課題/領域番号 |
20K01213
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中村 潔 新潟大学, 人文社会科学系, 名誉教授 (60217841)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | バリ=ヒンドゥー / 場所 / 共同体 / 出自集団 / 都市移住 / バリ / マタラム / 父系出自集団 / インドネシア / バリ・ヒンドゥー / 祖先崇拝 / 土地 / 高齢化 / バリ人 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、対象とする調査地に関して以下の2つを軸として共同体への帰属に関わる人びとの感情と論理を探る: 一つは、「起源」の土地を離れた人々が自分と出身共同体とのつながりをどのようにとらえるのか、という観点であり、今一つは、同様に起源の土地と関わるが、動かすことの可能な祖先、近親とのつながりの問題である。 本研究は、「共同性」の焦点でありつづけている出身村との関係、そして、共同体を離れているために支えることができなくなった老人の世話や自身の老後についての人びとの考え方を面接調査、観察、フォーカスグループディスカッションといった質的社会調査の方法により明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では,共同体を離れているために支えることができなくなった老親の世話や自身の老後についての人びとの取り組みや考え方を捉えることか ら,バリ人を取り巻く現代的状況における共同体とのつながりを検討した.データとした個人の逸話だけを見ると,移住の背景や移住後の出身村との関係及び老 後の予定など個々の事情の違いにより変わるだけのように思えるが,共通している点に目を向ければ,共同体(出身村)との関係(の説明)に二つの異なる規則 (「地縁」と「血縁」)の働きを見て取ることができる.調査では慣習村とのつながりよりも親族とのつながりの方がより多く話題となったが,これは移動制限によるものと考えられる.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は,インドネシアの地方社会に潜伏する社会問題を人類学的な微視的視点から剔出した.経済成長のもたらす見かけの豊かさにも関わらず,バリ人社会では,福祉については危うさのあることがわかる.当事者であるインタビュー対象者たちが一致して表明する,実家と移住先との二重の帰属による負担感(の無さ)の理由として彼らが挙げている,「始原」(共同体あるいは祖先)への奉仕という考え方から,社会福祉を社会全体によってではなく個々人の努力によって成し遂げようとする規範を正当化するイデオロギーとして,血縁や共同体に関わる伝統的観念が作用していると考えられ,これを日本を含むアジアの諸社会と比較することが可能である.
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