研究課題/領域番号 |
20K01220
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
多和田 裕司 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (00253625)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | イスラーム / マレーシア / 世俗 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、現代社会の論理にしたがって分節化された「世俗」の領域について、ムスリムがそれをいかに認識しているか、さらにはいかなる認識のうえで「イスラーム化」をはかろうとしているのかという点に着目する。具体的には、マレーシアにおけるイスラーム実践を対象として、「世俗」の領域のなかでなされるイスラームの再定式化の試みについて検討する。この作業を通して、現代社会におけるイスラームについての理解を深化させる。
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研究実績の概要 |
2023年度は、夏季にマレーシアでの資料収集および実態調査を実施するとともに、収集した資料の整理、検討をおこなった。マレー・ムスリムがおかれている「世俗」の領域について、23年度はとくに非ムスリム、非イスラームの存在を前提とする「制度」と、イスラーム以外の要素が遍在する「空間」に焦点をあてた。 前者については、イスラームが実践される枠組みとしてのイスラーム法制度を対象とした。マレーシアでは、従来、イスラームにかんする事柄は憲法上州に属する事項とされ、各州はシャリーアにもとづいた州のイスラーム法令を比較的広範囲に制定してきた。しかし近年、州で制定されたイスラーム法令の一部を無効とするような連邦裁(最高裁)の判断が相次いでなされている。このような動きは、イスラームと「世俗」との境界の再設定とでも呼べるものであり、イスラームといえど「世俗」の枠組みのなかでしか実践できないことの具体的あらわれととらえることができる。 後者については、ムスリムの生活の場である現代社会の消費空間に焦点をあてた。経済発展とともにマレーシアではショッピングモールが林立し、消費生活の中心的な位置を占めている。モールでは、グローバル・チェーンが軒を並べ、同時にハリラヤ・プアサ(イスラームの断食明けの祝祭)などのイスラーム行事が「脱宗教化」されたイベントとしておこなわれている。そこに集うムスリム消費者のイベントとの関係性は、クリスマスや春節、独立記念式典といった非イスラーム的、非宗教的なイベントのそれと相似的である。イスラームの宗教的行事ですら、ショッピングモールでの商業イベントという「世俗」の枠組みを通して実現されている。 現段階にあっては資料の分析がまだ十分ではないが、いずれの事象においてもイスラーム以外の要因(「世俗」の領域)がムスリムの実践を形作る例としてとらえることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度からコロナ禍以前と同程度にマレーシアでの現地調査が可能となった。2022年度に実施した現地調査とあわせて、ようやく当初予定していた研究の進捗状況に近づきつつある段階である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、本計画の補助事業期間再延長が承認されたことにより、マレーシアでの調査を実施し、関連する資料の入手に努めたい。具体的には、本務校の夏季休業期間を利用して可能な限りの現地での資料収集を実施する。年度後半には収集した資料をもとに研究成果を取りまとめる。
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