研究課題/領域番号 |
20K01221
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
森谷 裕美子 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (40221709)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 技能実習生 / 先住民 / 国内移動 / 社会的ネットワーク / フィリピン / 出稼ぎ労働 / 人の移動 |
研究開始時の研究の概要 |
フィリピンでは、長年に亘って低地民から差別・抑圧されてきた先住民が、近年、農業技能実習生として日本に多く送り出されるようになった。その一方で送り出し側ではこうした出稼ぎで得られた資金をもとに、先住民が自分たちの農地で低地民を雇うといった地位の逆転現象が起きている。こうした状況を踏まえ本研究では、日本で働く実習生と、先住民の下で働く低地民の生活状況についての調査を行い、それぞれの移動にどのような問題や課題が見られるか、また、さまざまな問題を抱えながらもなぜ先住民たちは日本に向かうのかを明らかにすることで、在日外国人労働者や移民送出国の人々に対する支援の在り方を公共人類学の立場から検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、フィリピンで長年にわたって低地民から周辺化されてきた先住民が、近年、農業技能実習生として日本に多く送り出されるようになっており、実習先の日本では彼らをめぐるさまざまな問題が発生しているが、そのいっぽうで帰国後には、こうした「国際移動」で得られた資金をもとに、自分たちの土地で大規模な農業経営を行うことで経済状況を改善させることができ、さらには、これまで自分たちを差別してきた低地民をそこで労働者として雇うことにより「雇い主」と「使用人」という地位の逆転現象が先住民社会で起きているという事実に注目し、彼らの日本での生活実態、および先住民の下で働く低地民の生活状況とその問題点を明らかにするとともに、こうした「国際移動」やそれに伴う「国内移動」がもたらす文化変容について分析することで、在日外国人労働者や移民送出国の人々に対する支援の在り方を公共人類学の立場から検討することであった。そのためには現地での調査が必須となるが、初年度と2年目はCovid-19の影響によりそうした調査ができておらず、今年度はだいぶ落ち着いてきたため、短期間ではあったが2回、フィリピンにおいて資料収集を実施したものの、先住民の土地での長期間にわたる調査はまだ実施が困難であったため、その一部を現地のNGOに委託することで1次資料を得ることにした。こうして得られた資料をもとに、今年度は主としてフィリピンの先住民社会での低地民の移動の経緯、および彼らの生活状況と先住民との関係性を明らかにし、また、その過程で明らかになった低地民の移動における社会的ネットワークの重要性についてもとりあげ、国際移動労働や国内移動労働にこうしたネットワークが如何に働くかを分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究には、日本国内とフィリピンでの現地調査が必須であり、当初の計画では初年度から数回にわたる現地での調査を実施する予定であったが、Covid-19の影響により、フィリピンでは渡航禁止勧告が早々に発令され入国が困難となり、また国内での調査も訪問先にご迷惑をおかけすることになるため、この状況が改善されるまで調査は見合わせることとした。こうした事情により、最初の2年間は国内での資料収集に留まっており、今年度は状況が改善され現地調査を再開したものの長期間にわたる調査は難しく未だ不十分であり、国内での調査も未実施のままである。しかし、短期間ではあったがフィリピンで資料収集を行うことができたこと、および一部の調査を外部に委託し一次資料を得たたことにより、ある程度は、研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は当初、3年間で行う予定であったが、Covid-19の影響により現地での調査が計画通り進まなかった。そのため研究期間を1年延長することにし、令和5年度にフィリピンでの補足調査および未実施の日本での調査を数回にわたって実施し、これによって得られた資料とこれまでの研究成果とをまとめ、最終的な結論を公表する。具体的には論文および学会での報告を通して研究成果を公表するとともに、当該社会にも還元する予定である。
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