研究課題/領域番号 |
20K01223
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
土佐 昌樹 国士舘大学, 21世紀アジア学部, 教授 (10237084)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | マルチサイテッド・エスノグラフィー / 国民的アイデ ンティティ / グローバル化 / 東アジア / ナショナリズム |
研究開始時の研究の概要 |
グローバル化や地政学的変動により予測し難い揺らぎを見せる東アジアの国民的アイデンティティについてマルチサイテッド・エスノグラフィーの方法で捉え、香港、台北、ソウルにおいて移民問題や対中関係が集約的に現れる「場所」においてフィールドワークを実施し、国民的アイデンティティの変容というマクロの問題に接近する。それぞれのローカルな生活世界の中で追究した部分的理解像を一般的モデルへと結びつける。これまで培ってきた現地研究者や関係諸機関との交流を基礎に、長年の調査経験から得られた知見をより普遍的な理論的探求へとつなげ、東アジアの平和共生に貢献し得る認識の進展を目指す。
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研究実績の概要 |
グローバル化の進行、移民の増加、さらに中国の台頭といった新たな動因が東アジア地域に流動的な作用を及ぼしている。それらの動因が集約的に現れる事例を通じてマルチサイテッド・エスノグラフィーの方法で比較的に省察し、東アジアの実存的・集団的アイデンティティの行方について深い分析を加えながら理論的一般化を図ることが本研究調査の目的である。 今年度は、コロナ禍による旅行制限が緩和され、韓国、香港、台湾における海外実地調査をそれぞれ10泊ずつ実施することができた。コロナ禍で途絶えていた市民組織、宗教組織、政府機関、大学等との関係をアップデートすることを心がけた。移民問題や対中関係が集約的に現れる「場所」においてフィールドワークを実施し、国民的アイデンティティの変容というマクロの問題に接近する準備を整えた。 ソウルでは大林洞にある朝鮮族タウンを 主な調査地とし、地域社会、市民組織、宗教組織、政府機関等における集約的なフィールドワークを実施し、関係者約10名にインタビューを実施した。香港ではフィリピン人家事ヘルパーに対するインタビューを集中的に実施し、香港と中国との関係、そして香港人アイデンティティの行方を重層的に理解するための知見を重ねた。東南アジアからの新移民に対するインタビューを集中的に実施し、台湾と中国との関係、そして台湾人アイデンティティの行方を重層的に理解するための知見を重ねることができた。 ローカルな文脈とグローバル化や世界システムといったマクロの文脈を結びつけるという本研究計画の目的に向け、基礎的なデータの収集、整理を行い、次の段階に向けて考察をすすめる基礎となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ようやくコロナ禍による旅行制限が緩和され、韓国、香港、台湾における海外実地調査に着手することができた。関係者とはほぼ3年ぶりに再会することが叶い、来年度に本格的なリサーチを展開する目処がついた。長い空白期間を一気に解消することは無理だとしても、これまでの信頼関係をベースに、課題の焦点化と発展的展開に向けて具体的な道筋を見出すところまでたどり着いたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の海外実地調査の成果を基礎に、来年度はさらに本格的な調査研究を実施する。できるだけ長期の出張期間を確保し、韓国、香港、台湾における実地調査を継続する。来年度は本来なら研究計画の最終年度であるが、2年間の空白をリカバーして総括するのはさすがに無理なので、最低でも1年間の研究期間延長をすることを申請したい。
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