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「アート」の理論と政策の相互的展開の考察ー研究と実践の批判的協働へのアプローチー

研究課題

研究課題/領域番号 20K01226
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分04030:文化人類学および民俗学関連
研究機関早稲田大学

研究代表者

小長谷 英代  早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (60300472)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワードアート / スミソニアン・フォークライフ・フェスティヴァル / パフォーマンス / 文化政策 / 公共民俗学 / アーツ・フェスティヴァル / アート市場 / ヴァナキュラー / フォーク/フォークライフ・フェスティヴァル / スミソニアン・フォークライフ文化遺産センター / パフォーマンス理論 / アメリカ文化人類学・民俗学 / 文化民主主義 / NEA / フォク・アート / フォークライフ・フェスティヴァル / フォーク・アーツ / スミソニアン・フォークライフ・文化遺産センター / フォーク・フェスティヴァル / 公共文化 / スミソニアン
研究開始時の研究の概要

今日、アメリカの文化人類学・民俗学において「アート」は学術研究と社会実践を繋ぐ主要な論点となっている。かつて両領域はアートを歴史遺物と捉え、その集団的伝統性に主眼を置いたが、20世紀後半以降、創造的プロセスや主体的観点を強調し、今日特にアートの実践者と研究者の協働に関心を高めている。注目すべきは、このアート研究における理論的転換が、多様性・公正性の文化政策と連動し、民主的参加のプログラムに実践されてきたことである。本研究はアートの理論と政策の作用、およびアートの定義、表象、言説の変化を考察しながら、研究と実践の相互関係を批判的・歴史的観点から再考し、アート研究への新たな視点を探る試みである。

研究実績の概要

本研究の目的は西欧近代の「アート」の体系化における文化人類学的・民俗学的「アート」研究の関わりを考察し、両領域のアート研究の意義や研究者の役割を「公共文化」の観点から捉え直していくことにある。特に20世紀後半の文化人類学・民俗学における「アート」の言説・表象の批判的文脈に、改めて(1)理論と(2)政策、(3)理論・政策の相互関係と研究者の位置性を明らかにし、研究と実践の多層的な関係性への視点を開くことを目指している。
2023年度の研究では 、主要文献分析およびフィールド調査において、最終年度に向けた総括的な研究に取り組んでいる。文献研究として、初年度から特に1960年代以降に焦点をあててきたアメリカ文化人類学・民俗学の「アート」における(1) 理論、(2)政策の変革のプロセスを改めて系譜的にまとめている。また(3)理論・政策の相互的関係を探るべく、1990年代以降の「アート」の「イヴェント化」等による「アート市場」のグローバル化、および「アート」における文化産業論のイヴェント/ツーリズム研究等の議論の拡大を踏まえ、1960年代以降のアメリカの文化人類学的・民俗学的「アート」論とスミソニアン機構、ユネスコの「文化政策」の関係を歴史的・政治経済的文脈に再考している。特に、前年度からの発展として、本年度の理論的考察では、1990年度以降の文化人類学・民俗学の「アート」理論における、ポストコロニアル研究・カルチュラルスタディーズの議論に注目し、「アート」への多層的なアプローチの発展を考察している。
また、フィールド調査では、本研究課題の実験的実践の機会/場としての焦点である「スミソニアン・フォークライフ・フェスティヴァル」(ワシントンD.C, .6月末-7月初旬開催)での実演・展示や実演者、来場者/観衆、ボランティア等、会場の構成・設備等、観察や会話、資料収集等、調査を行なっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究では、1960年代以降のアメリカにおける「アート」の文化人類学的・民俗学的「理論」の考察として、アメリカ民俗学の「パフォーマンス」理論を中心とした「アート」論の系譜を改めて追究している。特に「パフォーマンス」の実践の分析カテゴリー(イヴェント/フレーム)として「フェスティヴァル」と理論の相互作用的関係を当時の社会的・政治的分脈に再考し、「パフォーマンス」理論が当時の社会的・政治的実践としての「フェスティヴァル」の発展と不可分な関係に発展してきたこと考察している。また1990年代以降、文化産業論のイヴェント/ツーリズム研究等の「アート」論とNEAやユネスコ等、ナショナル/グローバルな公的機関による「フェスティヴァル」を中心とした文化政策の関係においても、理論と実践の相互作用関係を明らかにしている。
「スミソニアン・フォークライフ・フェスティヴァル」の2023年度メイン・テーマ(「クリエイティヴ・エンカウンター」「オザーク」「ソウル・オブ・テングリ」)の個々の実演/展示の実践の在り方、中でも実演・展示者と観客/来場者の相互の関係において、過去の調査と比較して、実演/展示での研究者やフェスティヴァル関係者の存在感が薄れて実演・展示者と観客/来場者の極めて主体的かつ自由なやり取りが伺え、オンライン上の実践やアーカイヴ等の文献・資料の調査を裏付けるべく大きな変化を実感している。
また、こうした理論・実践の考察については、論考「<アート>における「ヴァナキュラー」/「グローバル」ーフェスティヴァルの考察から」(『ヴァナキュラー・アートの民俗学』)や研究発表 “The Emergence of a New Public: Redefining the Festival, Policy, and History” (AFS, 11/2023, OR)の議論に発展させている。

今後の研究の推進方策

2023年度の取り組みにおいて、それまでの研究の進展の遅れを概ね解消している。特に文化人類学・民俗学および文化産業論的研究の「アート」における「理論」と「政策」の関係を、ポストコロニアル研究に焦点をあてて追究することができたことは重要な成果であり、最終年度2024年にはこれをより詳細に深め、本研究課題を総括する論考としてまとめていきたい。
また引き続き2024年度にも「スミソニアン・フォークライフ・フェスティヴァル」でのフィールド調査を実施する予定である。尚今年度開催期間の短縮があり、場合によっては調査の対象を他都市でのフェスティヴァル/フェアに変更する可能性もある。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] Ohio State University/The College of Wooster(米国)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Heritage Production in National and Global Cultural Policies: Folkloristics, Politics, and Cultural Economy in Ryukyuan/Okinawan Performance2020

    • 著者名/発表者名
      Hideyo Konagaya
    • 雑誌名

      Asian Ethnology

      巻: 79(1) ページ: 45-66

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] The Emergence of a New Public: Redefining the Festival, Policy, and History2023

    • 著者名/発表者名
      Hideyo Konagaya
    • 学会等名
      American Folklore Society 2023 Annual Meeting
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Vernacular Politics in Urban Civic Festivals: Tourism, Policy, and Alternative Publics2023

    • 著者名/発表者名
      Hideyo Konagaya
    • 学会等名
      Association for Asian Studies
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 〈アート〉における〈ヴァナキュラー〉の視点ーグローバル化と〈フォークライフ・フェスティヴァル〉2021

    • 著者名/発表者名
      小長谷英代
    • 学会等名
      現代民俗学会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] Intangible Cultural Heritage in Asia: Traditions in Transition (zoom webinar)2020

    • 著者名/発表者名
      Hideyo Konagaya, 他7名
    • 学会等名
      Asian Ethnology
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 〈アート〉における「ヴァナキュラー」/「グローバル」ーフェスティヴァルの考察から(菅豊編『ヴァナキュラー・アートの民俗学』第4章)2024

    • 著者名/発表者名
      小長谷英代
    • 総ページ数
      24
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      9784130802291
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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