研究課題/領域番号 |
20K01237
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮坂 渉 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (70434230)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ローマ法 / スルピキウス家文書 / 担保物売却 / 法政策 / カトー『農業論』 / プラウトゥス / 北アフリカ / 皇帝所領 / 帳簿 / 蝋板文書 / パピルス / 碑文 / 担保史 / 取引実務 / 暴利行為 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、前3世紀から後1世紀にかけての古代ローマ社会で展開された取引実務を、非法文史料あるいは出土資料を基に解明し、その取引実務と、それを支えた取引当事者の意識が、法学者による古典期ローマの担保法理論に与えた影響を測定する。 古代ローマ社会で展開された取引実務が古典期ローマの担保法理論に与えた影響を解明することで、西洋法の源流である古代ローマ法に組み込まれていた暴利行為の可能性を排除し、公正な担保権の実行を確立するための一つの可能性を提示するとともに、西洋法ひいてはこれを継受した日本の担保法制が抱えてきた問題の根本的原因を解明するための研究の基礎理論を構築することができる。
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研究実績の概要 |
2023年度は、古代ローマ担保法制にかんする法学者の見解と皇帝が発した勅法との分析を踏まえた、担保物売却の歴史的展開について、前年度に得られた知見を、2023年8月にフィンランド・ヘルシンキで開催された第76回国際古代法学会にて、Historical development of agreement for selling collateral and its significance from the viewpoint of legal policyという表題で報告した。その後、参加者との意見交換を行い、古代ローマ法における物権法全体との関係も視野に入れる必要があること、現代のヨーロッパ法における担保法制との接続も考えるべきであること、日本の中世・近世・近代の担保法史とも比較可能であることが指摘された。これらの論点について、2024年9月に大阪で国際研究会を開催し、本研究を総括することとなった。喜劇作家プラウトゥスの作品『捕虜Captivi』の分析を踏まえた、スルピキウス家文書についての研究成果は、共著書全体を再編集することとなり、その編集作業を行った。その他、前年度から引き続いてのサバティカル期間中に、ヨーロッパの古代ローマ遺跡と博物館を調査し、資料を収集した。特に、イタリアのポンペイとポッツォーリで、スルピキウス家文書の発掘にかんする展示と、スルピキウス家の足跡を調査することができたことは、スルピキウス家文書研究の進展に大いに寄与すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
喜劇作家プラウトゥスの作品『捕虜Captivi』の分析を踏まえた、スルピキウス家文書についての研究成果は、2022年内に共著書として刊行予定であったが、共著者1名の原稿提出が遅れ、その後提出自体を断念したため、共著書全体を再編集することとなったが、2024年中には刊行されることが確実となった。その影響で、カトー著『農業論』、ティトゥス・リウィウス著『ローマ建国以来の歴史』等の文学作品との比較についても成果の公表までに至らなかったが、こちらも2024年度に公表する。担保物売却の歴史的展開については、上述のとおり研究自体は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年中に研究成果を公表すると共に、2024年9月に大阪で国際研究会を開催し、本研究を総括する。
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