研究課題/領域番号 |
20K01238
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福岡 安都子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80323624)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 公法史 / オランダ / ドイツ / 国際法 / 国際関係 / グロティウス / オランダの啓蒙 / ミヒャエル・シュトライス / スピノザ / 啓蒙主義 / 立憲主義 / 国家論 / 法学的方法 / 政教関係論 / 人権論 / 初期近代 / 学際性 |
研究開始時の研究の概要 |
法的語彙・法的概念装置を主たる武器としつつ、国家を巡る現実を説明し制御せんとするアプローチないし方法論は、国家を巡る学問的言説の歴史の中で、如何に確立していったのであろうか。その生成過程には、他の方法論に依る国家論に対して、如何なる影響関係や対立関係が看取されるのであろうか。本研究プロジェクトは、初期近代オランダ公法史研究の試みとして、上記のような「法学的方法」による国家論の生成と展開について、同時代の他の学問的潮流や、オランダの近隣諸国における議論との影響関係等、比較分析に重点を置きつつ考察することを目指す。
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研究実績の概要 |
今期においては,公法史の流れと方法論に係る基本書,Michael Stolleis, Oeffentliches Recht in Deutschland: Eine Einfuehrung in seine Geschichte (16. -21. Jahrhundert)について,その日本語訳を, 『ドイツ公法史入門』(勁草書房, 2023年9月)として出版することができた。憲法の教鞭を執りつつ歴史研究に携わる者として,「公法史」という学問分野の全体像について俯瞰図を提示し,また同時に,日本語で読める入門書を用意する必要を常々感じてきたところであるが,今回,その課題について一つの形を与えることができて嬉しい。 この訳書の出版に際しては,入門書として平易な語彙を優先しつつ,良き実定法学者でもあった原著者の関心を再現できるよう,我が国の公法学における用語法との接続性を確保することを心がけた。原著者との相談に基づいて(原著にはない)肖像図版を加えたほか,研究・学習のさらなる便宜のため,索引を原著よりも大幅に拡充し,また,ドイツ語と日本語との差異を解説する訳注を追加した。加えて,「訳者あとがき」として,原著者シュトライスとその業績の位置付けについて,日本の読者のために解説する論考を書き下ろした。 国際法の発展史も「公法史」の対象に含める同書の訳出からは,公法は国内的関係のみの規律に限局されるものではなく,当該国家を取り巻く国際関係によって直接・間接に規定されていることもまた,学んだ。この点の認識とも連動して,今期はさらに,17世紀のオランダ共和国を取り巻く国際関係,そして国際法成立史という,自分の研究ではこれまで触れてこなかった領域について,先行研究についての書評という形ではあるが,挑戦を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの実績報告書に述べたとおり,コロナ禍に対応して本プロジェクトの重点領域を,(A)スピノザの時代の「前史」に当たる17世紀初頭,(B)「後史」に当たる17世紀末~フランス革命期,(C)「法学的方法」の歴史的文脈・より広い「公法史」の脈絡,の3点に整理し直した。2023年度については,これら3つの柱のうち(A)と(C)に重点を置くことを計画していたところ(2022年度実績報告書参照),『ドイツ公法史入門』により(C)について基本書の翻訳発行という成果を得,また,2つの書評論文の発表という形で(A)についても成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
上記(A)の領域について,一次文献の調査・読解がなお不足している。既存の翻訳等が限られたラテン語文献が主たる対象となるため,決して簡単な課題ではないものの,今期は,近代国家学の「making of」に当たる時代の諸作を検討することを重点的な目標としたい。
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