研究課題/領域番号 |
20K01250
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 九州国際大学 |
研究代表者 |
菅尾 暁 九州国際大学, 法学部, 教授 (20552326)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ローマ法 / 無権限 / 追認 / 事務管理 / 債権回収 / 表見相続 / 追認担保 / 相殺 / 無権限者の行為 / 追認拒絶 |
研究開始時の研究の概要 |
無権限者の行為は権利者の事後的な追認によって有効となる。追認の対象となる行為類型として法源上、譲渡や質権設定、債務取立を確認できるが、統一的な追認理論の提示は困難とされていた。しかし、従来の検討対象にはなかった追認拒絶事例を含めて、当事者属性、行為内容、法的構成に類型化することで、追認対象行為を明確にできる。 そこで、本研究では、無権限者の行為を上記の類型化に基づいて追認構成と事務管理構成に分類し、追認対象行為(追認・追認拒絶含む)を精査することで追認対象行為の変遷過程を明らかにする。また、類型化により、追認構成を事務管理構成と区別する要件を探り、同様の問題を抱える現代法への示唆を得る。
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研究実績の概要 |
本研究は、無権限者の行為をなぜ追認できるのかという問いを解明するために、無権限者の行為の法的構成を類型化して、追認対象となる行為の範囲を明らかにすることを目的とする。本年度中は次の点につき研究を進めた。前年度末に行った研究会報告「債権回収における追認と事務管理の成立」における主要法史料であるD. 3,5,5,11-12(Ulp. 10 ad ed.)と、その前後の法史料を検討し、事務管理に関する文献を渉猟した。また、非債の債権回収における追認問題という視点で、関連法史料を抽出し、整理、検討を進めた。 具体的には、D. 3,5,5,11では、法学者ウルピアーヌスが非債の債権回収において事務管理を認めるための「要素」としてcontemplatioを持ち出している。このことは、非債の場合には、contemplatioがなければ債権回収者が誰のために取り立てたのか不明であり、その宛名と追認者が合致しなければ、事務管理が追認者に対して成立しないことに根拠があると思われる。続くD. 3,5,5,12はこのことを前提とするものと考えられ、表見相続人に対する弁済は非債弁済と同視し得る状況になるにもかかわらず、contemplatioについて言及がなされていない。また、弁済者と真正相続人の間で事務管理は成立していないとされる。この両法史料の違いがどこから生じるのかについて、法史料上の文言、そして表見相続人の追認による法的関係(事務管理訴権、相続財産返還請求、非債弁済返還請求)について考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
年度前半では前年度の研究をある程度進めることができたものの、年度後半では育児のため研究に注力する時間を割くことができず、研究成果発表にも至らなかったため、上記区分に該当すると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
非債の債権回収において追認により事務管理が成立する問題を解明するため、関連する法史料の検討をさらに進める。具体的には、追認したとはいえ表見相続人に事務管理訴権が帰属するのはなぜか(D. 3,5,5,12)という問題を中心に据え、密接に関連すると思われるD. 3,5,5,11など関連法史料の検討を通じて明らかにする。
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