研究課題/領域番号 |
20K01259
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
守矢 健一 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (00295677)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 法の基礎論 / 裁判 / 法解釈理論 / 法解釈構成(Dogmatik) / 歴史 / 法社会学 / 法 / 法解釈構成 / 法の自律 / 儀礼 / 法と政治 / 法と社会 / 法史 / 判決 |
研究開始時の研究の概要 |
法は、第一に裁判実務を通じ、第二に法的論証がこの実務を支えることによって、法に独自の観点に従って(=自律的に)展開される。法的判断形成にあたって、経済や政治などの観点も顧慮されるが、それらの観点が法的観点を凌駕してはならない。そのような自律的な法を、社会がわざわざ要請するのは何故か。この問いは一見荒唐無稽に見えるが、社会が自律的な法をそもそも持たない場合もあれば、自律的な法を否認する場合もあり、このような社会と法のある社会とを比較することができる。そして法は、自律的なままで社会の展開に対しどのような関係を取り結び、信頼を獲得するのか。このような問題群に、歴史学的手法を通じて取り組む。
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研究実績の概要 |
「判決及び法解釈構成による法の自律と歴史」というタイトルを持ったこの研究課題について、全く主観的に言うならば、意外にも所定の実績を提出することができたように思う。まず、日本の裁判についてのイメージを問う作業を、ドイツ語の論文で公表することができた。同じ問題意識に出るのだが、日本の公法学におけるイェリネク受容の奇妙さを指摘する論文を、これは邦語で公表することもできた。また、研究課題に関連する問題関心として、裁判所を成り立たせるメンタリティという次元に光をあてる、という作業が必要である(そうでなければ、法は裁判所がなければないということになりかねないが、裁判所がなくとも法は存立し得る。が、裁判所を破壊するメンタリティは法を育てるメンタリティとは無縁だ、ということも言える)。その基礎作業の一つとして、金銭消費貸借という複雑な法関係を巡るサヴィニの考察を分析する論文を邦語で公にしえた。また、裁判所制度の日独比較を盛り込んだ講義録を充実させることもできた。 また、2022年5月から8月までスイス・チューリヒ大学に滞在し、ドイツ近代法史の俊英であるリープレヒト教授をはじめ、それ以外にも、教会法の大家ティーア教授、ローマ法研究をしなやかな方法論によって行うバブシオー教授との会話を密度高く行うことができたのは、大きな財産となっているし、現在もこの対話を継続中である。8月に法制史学会がチューリヒで開催されたが、そこで、若手のNeumeier 博士に出会えたこと、その前に、ゲティンゲン大学で、公法及び公法史の第一人者であるマイネル教授とインテンシヴな6時間の議論を行うことができたことも忘れ難い。これらの刺激を、確実に成果へと紡ぎたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、論文を日独双方の言語で、しかも重なり合うことのない内容について、公表し得ていることは、わたくしとしてはかつてないことで、その意味では順調と言って良いと思う。但し、本丸はもとより、裁判所というものを基礎づけるための研究を進めることであって、これは極めて困難だし、大きな迂回を必要とする。金銭消費貸借論という一見迂遠なテーマを選んでいることも、そのことと対応する。また、新型コロナ感染症の国家的対策に翻弄されて、バホフ研究を公にしえなかったことは、不可抗力とはいえ、残念である。
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今後の研究の推進方策 |
裁判所を巡る研究は、バホフ研究、あるいは、いわゆる特別裁判所(これは例外裁判所とは異なり、司法権に属するものと、ドイツ法では考えられている)についての日独における理解の違い、についての研究について、具体的に成果を出したい。また、金銭消費貸借論を巡る研究は、19世紀ドイツ法学のある弱点を深く衝くものであると思われ、慎重かつ大胆に、長期的な戦略による研究を必要とするかもしれない。こちらについては、あまり性急な成果を求めず、基礎研究を確実に積み重ねたい。
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