研究課題/領域番号 |
20K01277
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中島 徹 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (60366979)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 水への権利 / 生存権 / 財産権 / 憲法上の権利 / 実定法上の制度 / コモンズ / 社会的資本論 / 森林法判決 / 財産所有 / 選挙権 / 土地所有制度 / 人格 / 民意 / 水資源 / 水資源の不足 / 水資源の汚染 / 水のリユース / 東南アジアにおける水リユース / 水の再配分 / 財の希少性 / 水リユースの産業化 / 水 / 公共財 / 持続可能性 / 個人の権利 / 公正な分配 |
研究開始時の研究の概要 |
従来の法律学では、水の公共性という観点から公営か民営かの選択の適否を論じることはあっても、水への個人の権利が語られることは、水利権のような例を除いてほとんどなく、憲法が保障する個人の権利論としては皆無であった。本研究は、「持続可能な社会」論を個人の人権保障の観点から批判的に検討することで、それに代わる「個人が共生できる権利保障社会」を、権利論と統治制度論の両面から提示することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本年度は、「インフラと法」を特集した法律時報94巻10号(2022年)において本研究主題に関わる「水への権利とは何か」を公表した。同論文は、「水への権利」という、日本の法律学では通用力が高いとは言えない語を手掛かりに、それを日本国憲法上の権利として論じることを目的としたものである。そもそも、日常生活においては、水は「権利」の対象と観念されてすらいないことから、本稿では、まず「水への権利」の意味するところを生存権や財産権等の憲法上の権利との関係についてさまざまな観点から検討した。その上で検討の中心としたのは、水を必要とする他者を排除しない権利を憲法上の権利として論じることができるかどうかという点である。これは本研究テーマの出発点である「水への権利」の観念を法律学に定着させるために第一歩としての意味を持つ研究である。 もっとも、憲法上の権利として「水への権利」を原理論の観点から抽象的に論じるだけでは人間の生存に必要不可欠な水を権利として保障することはできない。そこで、水道インフラを実定法制度として整備するための議論が不可欠であることから、上記論文と表裏一体の関係にある研究として「憲法上の権利と実定法上の制度」(早稲田大学法学会編『早稲田大学法学界百周年記念論文集第一巻公法・基礎法編』成文堂、2022年)を公表した。 引き続き、水への権利を具体化するために検討すべき課題は山積しているが、コモンズ論や社会的共通資本論に安易に与せず、独自の理論構成を構想中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ようやく小休止を見たコロナ禍で、この3年間は当初予定した海外の水問題の現場での実地調査ができないことから、当初予定していた実証研究を断念し、理論研究に研究の方向性をシフトさせた。その点では、一応の進展を見ており、研究成果も公表できたが、今後当初の予定に戻ってその研究を完成させることができるかどうかは、今後の社会状況の推移によるため今田三津雄ことができない。
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今後の研究の推進方策 |
感染病の今後の推移に応じて今後の研究方向は左右されるため具体的な方策は現在検討中であるが、過去3年間の研究を踏まえて、理論研究を深化させることは確定している。あとは、当初の研究計画で想定していた実地調査をどこまでできるかによる。
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