研究課題/領域番号 |
20K01279
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
中山 茂樹 京都産業大学, 法学部, 教授 (00320250)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 医療上の意思決定 / 出生前検査 / 個人の尊重 / 自己決定 / ACP / プロフェッション / 倫理 / 憲法 / 医療 / 関係性 / 家族 / 親密 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、医療における患者・被験者の意思決定の家族ないし親密な関係の者によるいわゆる「代行」の問題を主たる対象にして、憲法上、個人にとって親密な関係性が有している意義を分析し、医療において親密な関係性が有している役割(の有無)を明らかにすることである。ポイントは、「個人の尊重」を基本原則とする憲法が、家族ないし親密な関係性をどのように位置づけており、それが医療という具体的な場面にどのように表れてくるかである。
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研究実績の概要 |
医療において、本人の同意に(事実として)代わってなされる親密な関係にある者の同意の法的意義について、本人の自律性がその者固有のものであることに注意して検討を進めた。現状の医療現場では、本人が同意できないと認識される場合には、しばしば、家族等の何らかの他者による同意(意思決定)が本人の同意に代わって必要であり、かつそれにより本人の同意の代替として十分であるとされていることがうかがわれるが、その法的基礎は必ずしも明らかでなく、個人の尊重の理念からは、医療行為が本人の独自の生き方・選好に沿い、本人自身の最善の利益に合致するものになるようにすることが求められる。優生保護法によるいわゆる強制不妊手術の問題も、決して過去の問題とすべきでなく、自己決定する権利のほか、この文脈でも検討する余地がある。 先端医療の分野では、研究と実用の接着という課題に対処し、科学的な根拠が不明確な未確立の医療における患者の安全性等を確保する医療規制のあり方についての模索が続いているところ、医療上の意思決定における臨床研究と研究ではない診療とのリスク・ベネフィット評価の違いについて整理した。診療が患者の最善の利益を目指すものであるのに対し、研究は必ずしもそうではない。家族等による意思決定の「代行」の問題についても、その違いがふまえられるべきである。 また、患者・家族らと共同して医療上の意思決定にかかわる医療専門職(プロフェッション)の自律性の憲法上の位置づけについて、生殖補助医療分野を題材に検討し、学問共同体の自律性との異同や、実際にはひとつの学協会が専門職集団であるとともに研究者集団でもあるとの性質を有すること、公権力と協働して医療に対する「規制」をおこなう動向が見られること、生殖補助医療分野ではリプロダクティブ・ライツ等との関係で公権力の直接の規制を抑制する議論がみられることなどについて、考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究活動を順調に遂行できるよう立て直すことができ、新型コロナウイルス感染症対策のための業務に圧迫されたことによる研究活動の遅れをかなり取り戻すことができた。とくに、学会・研究会等において対面で意見交換できるようになったことは大きい。医療上の意思決定に関する諸問題について、いわゆる「代行決定」の問題を中心に順調に検討を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
ひきつづき本研究課題を順調に遂行できるよう、他の業務とのバランスをはかりたい。学会・研究会なども対面開催されるようになってきているため、状況が許せば、学会・研究会等に積極的に参加して、情報交換をおこなっていきたい。
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