研究課題/領域番号 |
20K01290
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
藤巻 一男 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (20456346)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 消費税 / 事業 / 個人事業者 / 人的役務 / 仕入税額控除 / インボイス制度 / 転嫁 / 人件費 / 小規模事業者 / 付加価値 / 特例制度 / インボイス方式 / クラウドワーカー / 軽減税率 / 中小事業者 / 簡易仕入税額控除制度 |
研究開始時の研究の概要 |
令和元(2019)年10月1日から消費税率が8%から10%へ引き上げられ、食料品等の一定品目に対して軽減税率8%が導入された。このことによって、資金繰り等の面で特に大きな影響を受ける可能性が高い業種は、飲食店業や宿泊業、その他労働集約型のサービス業であると予想される。本研究では、消費税率の引上げや軽減税率の導入による経営への影響について、特に人件費との関係性に焦点を当てながら調査・分析を行った上で、それらの影響を緩和するための消費税制度の仕組みについて考察する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、消費税率の引上げや軽減税率の導入が小規模事業者の経営に及ぼす影響について、人件費との関係性に着目しながら分析を行い、それらの影響を合理的かつ公平に緩和するための消費税の特例制度の在り方を考察することである。 令和3年度では、適格請求書等保存方式(以下「インボイス制度」という)が、個人事業者に及ぼす影響を探るため、ネットリサーチによる実態調査(サンプル数:3,086)を実施し、その分析結果や考察の内容を研究成果として発表した。その中で特に着目したのは、本人だけで事業を営んでいる者(以下「一人事業者」という)である。一人事業者はサンプル数全体の63.2%を占め、その中には雇用と請負の中間にある「雇用的自営業者」が存在する。 消費税法上、人的役務の提供者が「個人事業者」に該当するか否かは、当該者自身の納税義務の有無や当該者に対して人的役務の対価を支払う課税事業者の仕入税額控除の可否の判断に影響を与えるが、消費税法上、「個人事業者」の意義を具体的に明示した規定はない。そこで、令和4年度では、その意義を明らかにするため、個人による人的役務提供が消費税法上の「事業」に該当するか否かを争点とする多数の裁判例を整理・分析し、売上げに係る税額の転嫁と仕入税額控除という消費税の基本的仕組みの視点から「事業」の概念を捉え、インボイス制度が「事業」の解釈に及ぼす影響を考察し、その内容を研究成果として発表した。 令和5年度では、これまでの研究成果を踏まえ、インボイス制度導入を控えた令和5(2023)年7月に個人事業者を対象にして、インボイス発行事業者の登録申請状況等の実態調査(サンプル数:3,208)を行った。インボイス制度導入以降の影響に関する実態調査(令和6年度に実施予定)の分析結果と比較分析を行なった上で研究成果を取りまとめることとしているため、令和5年度の研究成果の発表はない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の実施計画では、小規模事業者向けの新たな特例措置の在り方を探究するという目的のために、中小法人と個人事業者の両方を対象として実態調査をすること、また、消費税率の引上げや軽減税率の導入による経営への影響について業種別や規模別等による分析をすることを予定していた。 しかし、上記7.の通り、令和3年度に実施した実態調査の結果を踏まえ、小規模事業者のうち特に個人事業者に着目し、令和5年10月から導入されるインボイス方式による影響を更に調査・分析する必要があると考えた。個人事業者の約6割を占める一人事業者の中には、請負と雇用の中間型の労働形態も存在する。本研究では、特に人件費との関係性に焦点を当てるというアプローチをとっていることから、一人事業者のような労働形態と消費税の仕組みとの関係を解明することは、本研究の目的に即したものと考える。 そこで、令和5年度において、個人事業者を対象とし、インボイス制度導入の前後2回にわたりネットリサーチによる実態調査を実施する計画を立てたが、同制度の導入による影響が顕在化した段階で実施した方が良いとの考えから、当該計画を修正し、令和6年度上期に実施することとした。令和6年度下期にかけて、全体の研究成果をとりまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の実施計画では、小規模事業者向けの新たな特例措置の在り方を探究するという目的のために、中小法人と個人事業者の両方を対象として実態調査をすること、また、消費税率の引上げや軽減税率の導入による経営への影響について業種別や規模別等による分析をすることを予定していた。 しかし、上記7.の通り、令和3年度に実施した実態調査の結果を踏まえ、小規模事業者のうち特に個人事業者に着目し、令和5年10月から導入されるインボイス方式による影響を更に調査・分析する必要があると考えた。個人事業者の約6割を占める一人事業者の中には、請負と雇用の中間型の労働形態も存在する。本研究では、特に人件費との関係性に焦点を当てるというアプローチをとっていることから、一人事業者のような労働形態と消費税の仕組みとの関係を解明することは、本研究の目的に即したものと考える。 そこで、令和5年度において、個人事業者を対象とし、インボイス制度導入の前後2回にわたりネットリサーチによる実態調査を実施する計画を立てたが、同制度の導入による影響が顕在化した段階で実施した方が良いとの考えから、当該計画を修正し、令和6年度上期に実施することとした。令和6年度下期にかけて、全体の研究成果をとりまとめる予定である。
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