研究課題/領域番号 |
20K01300
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田村 達久 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (60304242)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 持続可能性 / 法規範 / 公法理論 / 企業的活動 / 公営企業 / 公企業 / 公営事業 / 企業的経営 / 行政法的規制 / 法治主義 / 法治国家 / 社会縮小 / 地域創生・再生 / 持続可能な開発目標 / 公共サービス / 経済性 / 民主的統制 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の地方公共団体の企業的活動、とりわけ、地方公営企業法に定められた上水道、自動車運送、鉄道等の各事業に係る公営企業活動に焦点を当てて、近時いわれる社会の縮小化という変化を前にして、当該公営企業活動の変容を見据えて、その法制の将来に向けてのあり方及び法理論を、①持続可能性、②地方公共団体の企業的活動による公共サービス提供体制における公共私のベストミックス、③地方公共団体の企業的活動による公共サービス提供体制における経済性・効率性確保のあり方、④地方公共団体の活動という公的活動に関しては常にその保障・確保が要請される実効的な民主的統制のあり方の4つの視角から立体的に考察・探究して明らかにする。
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研究実績の概要 |
社会縮小化時代における地方公共団体の企業的活動の一方向性として、その持続可能性の確保が重要となる。その典型である上・下水道、病院、交通等の地方公営企業は、住民の生活の基盤インフラの提供であるからだ。そこで、持続可能性の確保に係る法的判断枠組みあるいは法理論を考察することが重要となる。また、その際、地方公共団体の企業的活動に係る基準の法定化の有無の影響や、その適用の射程が問題となる。日本の地方自治法や地方公営企業法等の制定法規範は、当該企業的活動に対しては、積極的でも消極的でもなく、いわば中立的であるからだ。そこで、外国法制、特にドイツ法を比較参照して、その持続可能性の確保に関係する公法的規制・規範・理論のあり方を考察した。 ドイツでは、各州の地方自治法において、公共目的適合性、地方公共団体の活動能力適合性及び役務提供の需要適合性そして(私人による企業的活動に対する)補完性の3事項が、地方公共団体の経済的活動の許容性を認める上での判断基準となっているが、これらは、基本的に地方公共団体の企業的活動の重大な拡大にも適用されるものの、既存の当該企業的活動体やその活動を制約するものではないされる(Knaff, Oeffentliches Wirtschaftsrecht, 3.Auflage, 2023, Nomos, S.230f.)。そうだとすると、そのような法規範の定めがあることは、既存の企業的活動の持続可能性を根拠付ける又は制約することに影響を与えないかもしれない。しかし、端的には需要適合性の観点は、社会縮小時代においては地方公共団体の既存の企業的活動の持続可能性を否定する方向を肯定するものと理解されえないではない。そのため、社会縮小化時代における地方公共団体の企業的活動に係る公法的規制及びその規範のあり方、さらにその法理論の考察を継続することが必要不可欠である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本務校において令和4年9月21日から所属の学部及び学術院において学部長及び学術院長の職(任期2年)に就いていること、また、2023年度は所属学部を含んだ組織全体の再編成作業への取り組みが行われていたことから、役職上、当該業務を中心として2023年度の全体を通じて学内業務処理に割かなければならない時間が激増したこと、さらに、その影響で身体的及び精神的な面での負担が増加して体調を大きく損なったことが主な原因となり、本研究課題に取り組む時間的余裕が極めて少なくなり、本研究課題の研究遂行が滞ってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
本務校において責任者たる学部長職・学術院長職に現在も就いていることから生じる時間的制約に鑑みて、ヒアリングなどの実態調査を実施するよりも関係文献の調査とその検討に注力し、それを中心として研究を推進する。そして、これとともに、研究成果のとりまとめも進めていく。
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