研究課題/領域番号 |
20K01305
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
奈須 祐治 西南学院大学, 法学部, 教授 (40399233)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 人権法 / ヘイトスピーチ / 差別禁止法 / 国内人権機関 / 人権委員会 / 人権審判所 / カナダ法 / オーストラリア法 / ヘイトスピーチ解消法 / 川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例 / ヘイト・スピーチ / 人権救済 / オーストラリア人権法 / カナダ人権法 |
研究開始時の研究の概要 |
ヘイト・スピーチ解消法が施行された後も問題は深刻で,特定型・不特定型のいずれの型のヘイト・スピーチについても実効的統制がされていない。これまで規制消極説は対抗言論や自主規制によってヘイト・スピーチの統制が可能と考えてきたが,それらは機能していない。また,消極説は特定型の規制がなされていることを自説の論拠としてきたが,この前提も疑わしい。他方で,規制積極説は法規制が実効的に運用できることを前提にするが,特定型の規制すら機能しない中,特に運用が困難な不特定型の規制に期待するのは難しい。そこで,本研究は統治機構を見直すという発想に立ち,人権法によるヘイト・スピーチ統制の可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
令和4年度には,オーストラリアとカナダの人権法に関する学説と,政府機関や民間団体から出された報告書の検討を行うことを予定していた。このうちカナダの連邦・州の政府報告書は予定通り広く検討することができた(州については特に,BC州,オンタリオ州,アルバータ州,ノバスコシア州を検討対象とした)。カナダの学説については,’14 Arguments in Favaour of Human Rights Institutions’と’Restraining Equality: Human Rights Commissions in Canada’の2つの著書の検討にとどまった。
令和4年度は若干の研究の方向修正があったため,オーストラリアの研究はほとんどできなかった。すなわち,①アメリカのBostock事件判決をめぐって1964年公民権法のあり方が大きな議論となっていることを知り,この点に関する研究に時間を注いだ。②また,本研究課題と密接に関連するテーマである,社会的法益を根拠としたヘイトスピーチ規制の可能性と限界について,J.ウォルドロンの議論を再検討する研究を行った。③このほか,職場におけるヘイトスピーチの統制が問題になったフジ住宅事件の判例評釈を行った。これら①-③の研究は下記の研究業績として発表を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記のように方向修正があったため予定通りとはいえないものの,本研究課題に関連する研究業績は一定程度発表することができた。ただ,やはりカナダの人権法に関する学説,オーストラリアの人権法に関する報告書・学説に関し研究の遅れが生じたため,今後多数の文献を渉猟する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画としては,上記のように令和4年度に検討が及ばなかった,カナダの人権法に関する学説,オーストラリアの人権法に関する報告書・学説の検討を行う。また,令和5年度は本研究課題の最終年度であるため,研究の全体的な整理を行うとともに,日本への応用可能性を考えていく。日本については,人権擁護法案等をめぐる過去の人権法(差別禁止法)に関する議論を振り返るとともに,自治体レベルで本格的な人権機関を設置することを提案する,神奈川県相模原市の人権施策審議会答申(「(仮称)相模原市人権尊重のまちづくり条例の制定について(審申)」)の内容を検討する(同時に同市におけるこの条例の制定過程における議論を追っていく)。
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