研究課題/領域番号 |
20K01313
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05030:国際法学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
徳永 恵美香 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 特任講師(常勤) (50794773)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 被災者の保護 / 被災国 / 生命に対する権利 / 公衆衛生上の緊急事態 / 環境損害 / 災害リスク削減 / 国際法学 / 国際環境法 / 同意原則 / 人道支援 / 災害対応 / 防災 / 災害 / 国際災害法 / 被災国の同意原則 / 人権条約上の被災国の義務 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、被災者の権利に関する人権条約上の被災国の義務の視点から、被災国の同意原則を乗り越えるための理論的な枠組みの再構築を試みるために、国際法的研究から、(1)防災と国際的な災害対応をめぐる国際的な動きを中心にして、「国際災害法」という法体系が国際法の一体系として形成されつつある過程を実証的に解明し、(2)被災者保護と被災国の同意原則に関する法概念、法原則、及び規則の内容を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、被災者の権利に関する人権条約上の被災国の義務の視点から、被災国の同意原則を乗り越えるための理論的な枠組みの再構築を試みるために、次の2点を明らかにすることである。すなわち、(1)防災と国際的な災害対応をめぐる国際的な動きを中心にして、「国際災害法」という法体系が国際法の一体系として形成されつつある過程を実証的に解明することと、(2)被災者の保護と被災国の同意原則に関する概念、原則、及び規則の内容を明らかにすることである。(1)では、19世紀後半から現在までの「国際災害法」に関する法規範形成の過程を、行為体と成果物の2つに着目しながら分析する。(2)では、(1)で検討の対象とした成果物の分析とともに、被災者の保護に関する人権条約の規定の解釈や人権条約機関の実行等の分析を行う。 令和4年度には、(2)の研究の中の被災者の保護に関する概念を明らかにするために、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(自由権規約)をはじめとする主要な人権条約の規定の解釈と条約機関の実行の検討を行った。その際、公衆衛生上の緊急事態と核廃棄物等に起因する環境損害も検討の対象に含めて分析を進めた。前者に関しては、自由権規約委員会の「一般的意見36」の26項と62項を解釈の資料として用いながら自由権規約2条と6条1項の解釈を行った。その結果、Covid-19のような「国際的関心事である公衆衛生上の緊急事態」が、同一般的意見26項で示された「社会の一般的な状況」の中に含まれると解することに妥当性があることを示すとともに、国家が取るべき措置の内容を明らかにした。後者に関しては、核廃棄物処理と管理が被災者の生命に対する権利に及ぼす影響と、同権利に関する国家の積極的義務について、国際環境法上の国家の義務と災害リスク削減の観点も含めて検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度から令和4年度は、新型コロナウイルス流行に対する国内外の移動制限等の措置によって、上記(1)の法規範形成過程の実証的研究に関連した国外での資料収集と、国連関係者や専門家に対する対面でのインタビューを実施することが著しく困難となった。令和4年度は、過去2年間に国内で行った法規範形成過程の実証的研究に関連する資料収集と研究成果に基づいて、上記(1)の法規範形成過程の実証的研究と(2)の概念・原則・規則の内容の解明に関する研究の検討・分析を進めた。その際、公衆衛生上の緊急事態と核廃棄物等による環境損害も検討の対象に含めて分析を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで実施できなかった(1)及び(2)の研究に関する国外での資料収集と、国連関係者や専門家に対する対面でのインタビューを、新型コロナウイルス流行の状況を勘案しつつ、令和5年度後半にこれらを実施する。また、令和5年度には、令和2年度から令和4年度の研究成果に基づき、国内外の学会や専門ジャーナルでの論文の公表などを通して、研究発表を行っていく。
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