研究課題/領域番号 |
20K01322
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05030:国際法学関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
戸田 五郎 京都産業大学, 法学部, 教授 (90207580)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 難民 / 庇護権 / 宗教の自由 / 送還禁止の原則 / 人権条約 / 難民条約 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、国際人権法における宗教の自由に関し、送還禁止(ノン・ルフールマン)の原則との関連において検討するものである。国家は人を、生命や自由が脅かされるおそれのある国等に追放乃至送還してはならない。同原則は難民条約に規定されるほか、人権条約においても運用上実質的に取り入れられており、拷問等禁止条約では明文規定が置かれている。本研究で解明したいのは、宗教の自由の制限がそれ自体として送還禁止の原則の適用を正当化するのか否かである。この問いの解明は、人権条約の関連規定及び難民条約の迫害概念の解釈の発展に寄与するとともに、日本を含む諸国が難民認定の実務上直面している課題に解答を与えることにもなろう。
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研究実績の概要 |
2022年度は最終年度であったが、研究計画中の欧州人権裁判所、欧州司法裁判所への訪問調査が新型コロナ感染症対策等の事情により未実施であることから、延長を申請した次第である。 2022年度には、前年度から継続して、国連人権高等弁務官事務所(UNHCR)、欧州連合庇護機関(EUAA)の各種資料に示される国際基準に照らす形での国内判例の比較研究を進め、まとめとなる論説の執筆にとりかかるとともに、各人権条約の実施機関による締約国の報告書審査及び国連人権理事会の普遍的定期審査に表れる宗教の自由の保障に係る論点の洗い出しと整理を進めた。それに関連して2023年3月26日、研究員として登録している世界人権問題研究センターの研究会において、イスラム教以外の宗教活動を制限するのみならず、シャリア法の下で他宗教への改宗者に対し死刑を含む苛烈な措置をもってのぞんでいる、イランの普遍的定期審査(2019年に第3回審査が実施されている)の状況に関する報告を、同国の各人権条約上の報告書審査を念頭に置きつつ行い、質疑から多くの示唆を得た。 また、以上に関連する考察として、人権条約実施機関の相互協力関係の分析を中心とする論考「国連人権条約機関の作業方法の調和―機関長会合・機関間会合の成果に照らして」を執筆した(国際人権法学会(編)『新国際人権法講座 第4巻』(信山社、2023年刊行予定)掲載予定)ほか、判例研究として、ポーランドの対ベラルーシ国境における庇護申請者の取扱いを巡る欧州人権裁判所の判決を検討した「国境での庇護申請拒否とノン・ルフールマン:庇護審査なしでの送還と条約3条― M.K. 対ポーランド判決―」(『人権判例報』第6号(2023年刊行予定)掲載予定)がある。2022年5月刊行の単著『国際人権法・庇護法研究』(信山社)とともに、本研究の骨格を補強する論考として位置づけられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行研究及び関連国際・国内判例の調査及び関連研究は順調に進展しているが、新型コロナウィルス感染症対策の影響により、本来初年度に実施を予定していた欧州人権裁判所、欧州司法裁判所の訪問調査を行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度においては、本研究課題のまとめとなる論説「「宗教」を理由とする迫害のおそれの認定--国際・国内判例の動向」(仮題)を執筆する予定であり、それには可能な限り、欧州人権裁判所、欧州司法裁判所訪問調査の成果を反映させたい。
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