研究課題/領域番号 |
20K01323
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中川 晶比兒 北海道大学, 法学研究科, 教授 (20378516)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 独占禁止法 / 生産性 / 排他的取引 / 中小企業 / 優越的地位の濫用 / 垂直統合 / two-sided markets / 問題解消措置 / 競争 / 企業間格差 / データ / 混合型企業結合 / 価格差別 / 課徴金 / 無形資産 / 生産性格差 / 競争優位の決まり方 |
研究開始時の研究の概要 |
独占禁止法は、公正かつ自由な競争が確保されれば、企業の生産性が向上し、市場全体の取引も活発になるという思想を前提にしてきた。しかし、企業間の生産性格差はあまねく見られるだけでなく、現在では生産性の格差が拡大していることが問題視されている。本研究は、生産性の企業間格差をもたらしている原因が、個別企業の努力の違いにあるのか、それとも産業の特性すなわち個別産業における競争優位の決まり方にあるのかを、解明することにより、企業間の生産性格差は、どのような場合にそれを政策的に是正すべきかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
独占禁止法による規制は、生産性向上が課題となっている農業者や中小企業の生産性向上の努力を守る点で、生産性向上という観点からも社会的意義を持つことを、具体的な事件の経済理論的な分析及び法令解釈を通じて明らかにした。逆に、競争者の数が多くても生産性向上のインセンティブがそもそも生じない場合がありうることも指摘した。競争と生産性格差の関係を理解するには、単に競争者の水平的な関係を見るだけでは足らず、個別産業ごとにサプライチェーン全体まで視野を広げて、個別企業の非対称性を分析する必要があることを明らかにした。ゲーム産業及び半導体産業の企業結合事例において、この知見を利用した研究を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によれば、独占禁止法の適用そのものが生産性向上を支援するのはさほど多くの場合ではない。これは、今まで漠然と考えられてきた独占禁止法と生産性との関係についての通念を揺るがすものである。優越的地位の濫用の規制は、独占禁止法上の体系的な位置づけについて論争が続いてきたが、生産性向上という観点からは他の規定と同列に評価され、これも学術的には新たな観点からの知見である。本研究は個別産業ごとに個別企業の詳細な調査が有益であることを示した。ゲーム産業及び半導体産業で培われた産業分析の手法は、他の産業にも展開可能であり、今後もさらにこの研究手法の継続と蓄積が期待できる。
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