研究課題/領域番号 |
20K01327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田中 伸至 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (80419332)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 医療アクセス / 統合診療 / 成果報酬 / かかりつけ医 / 薬価基準 / 医薬品 / Krankenhausreform 2023 / 空間整備 / 中心地構想 / 保健医療連携 / 病院計画 / 契約医の需要計画 / 医療機関の集約 / 保健医療制度 / 新型コロナウイルス感染症対応 / 医療保障法 / 医療の質 / 診療報酬 / ドイツ法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現役世代急減期(2025年~)における地理的医療アクセスの確保に関する制度や法的手法を総体的に研究する。国民皆保険の下「保険あって医療なし」は許されず、医療機関へのアクセス確保は最重要課題であるが、現役世代急減期には医療ニーズのピークアウトへの対応など、改めて困難な問題が浮上する。また、医療アクセスの確保は、医療費の抑制・効率化、医療の質との間のトリレンマの関係も踏まえて論じなければならないテーマである。そこで、日本とドイツの比較法研究を通じて、診療報酬制度改革による人口減少地域での医療アクセスの維持や医療の質の向上と両立する医療アクセス確保に役立つ法的手法などを研究する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、前年度から取り組んできた、統合診療「健康キンツィヒタール」についての調査検討を進め、さらに精査し、「かかりつけ医・保健医療連携・成果報酬 : ドイツの統合診療『健康キンツィヒタール』」(法政理論56巻1号(2023年)1頁-24頁)をとりまとめ、公表した。 また、日独両国における近時の医薬品供給不足の問題が医療アクセスに関わる問題であることを踏まえ、その検討ための基礎的研究として、前年度から引き続き、両国における医薬品に関する制度についての調査検討を進めた。その成果の一部として、わが国の薬価基準に関する制度の概況を整理し、近時の薬価基準に関する動向を法学的見地から検討した「薬価基準に関する法的分析」(社会保障法研究18号(2023年)57頁-111頁)を公表した。さらに、ドイツ医療保障制度に関する研究会編『ドイツ医療保障制度に関する調査研究報告書【2022年度版】』(医療経済研究機構、2023年3月、実態は8月刊行)第2章において、ドイツの医薬品に関する制度について概説した。 さらにこの間、ドイツでは、連邦政府が、本研究のテーマである人口減少下における地理的医療アクセスや医療の質の確保のあり方などに正面から取り組む、Krankenhausreform 2023に着手し、一部法案が審議されるに至った。主に州政府が扱ってきた上掲のテーマに連邦統一の規律を導入する、画期的な改革である。このため、本研究も、その検討対象を拡大し、新たな連邦法による制度にフォーカスしなければならない。そこで、改革の経緯、病院可視化法案、病院診療改善法案について、当面の調査検討を行った。この作業において、改革の特徴、意義を認識するとともに、日独間に制度の接近傾向があるのではないかとの感触が得られた。これらの成果については、北海道大学社会保障法研究会において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで、研究計画に基づき、人口減少地域における州や地域レベルの政策について調査検討を行ってきた。新型コロナウイルス感染症パンデミーのため、ドイツへの渡航ができず、文献調査中心に方針転換し、進捗状況の挽回を図り、一定の成果を得てきたところである。 ところが、連邦政府が、本研究のテーマである人口減少下における地理的医療アクセスや医療の質の確保のあり方などに正面から取り組む、Krankenhausreform 2023に着手し、一部法案が審議されるに至った。主に州政府が扱ってきた上掲のテーマに連邦統一の規律を導入する、画期的な改革である。このため、本研究計画が前提としてきた法状況に大きな変化が生じてくることになるから、検討対象を拡大し、新たな連邦法による制度に焦点を当てることとした。こうした状況であるので「やや遅れている」との区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
大改革になると見られるKrankenhausreform 2023は、第1弾の病院可視化法案が成立したばかりである。現在、第2弾の病院診療改善法案の審議が行われており、救急医療改革なども進められる見込みである。それらについても、本研究計画の学術上の「問い」の観点から、調査検討を進めていく予定である。
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