研究課題/領域番号 |
20K01330
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐藤 吾郎 岡山大学, 法務学域, 教授 (20273956)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 医療提供体制 / 持続可能性 / 独占禁止法 / 人口減少社会 / オンライン診療 / 医療法 / 地域医療構想 / 競争政策 / 地域インフラ産業 / 公私協働 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、人口減少社会における持続可能な医療提供体制の構築のための競争政策上の課題を明らかにし、人口減少、財政赤字(地域の実情)に対応した医療関連法制(医療政策)の変化、特に、連携を促進するための制度の導入(「競争より協調へ」)に対して、医療を受ける者の利益の保護の視点から競争政策のあり方(競争法の原理をいかに反映させるか)を考察する。 具体的には、実証的手法(ヒアリング調査)、比較法的手法(オーストラリア法、米国法)に基づいて競争法の適用、一定の政策課題(財政負担の軽減等)を解決するための規制、地域の多様性に対応するための決定方法(公私協働システム)の三つの側面からの政策提言を行う。
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研究実績の概要 |
既に、本研究について、わが国医療提供体制の現状と課題を競争政策の視点から把握したうえで、わが国法制度及び運用について、課題解決のための政策提言をまとめ、邦 文および英文による研究成果を公表した。第一に、邦文による研究成果である。本研究申請時点では、新型コロナウイルス対応が問題となっていなかったため、 当初の計画においては、新型コロナウイルス対応を想定していなかったが、本研究テーマに関してわが国 が直面する課題として、本研究においても、新型コロ ナウイルス対応に関する文献およびヒアリング調査を行った。以上の調査及び研究をふまえた研究として、 新型コロナウイルス対応を契機として明確になった 課題を含め、本研究テーマについての政策提言を行った研究成果(「持続可能な医療提供体制の構築と競争政策―新型コロナウイルス感染症対応を契機とし てー」(2022年1月))を公表した。第二の研究成果は、新型コロナウイルス対応がもたらす課題を含みつつ、人口 減少社会における競争政策の視点から、競争と 連携に焦点をあてて、政策提言を行った論文("Competition and Cooperation: Building a Sustainable Healthcare Delivery System in a Society with a Declining Population")(2022)である。 今年度は、2024年度で終了する地域医療構想のこれまでの運用の包括的評価を含めた論文(2024年度公表予定)を公表するための準備的研究として、比較法的研究、実証的研究、理論的研究を行った。本研究の最終年度(2024年度)に、本研究テーマに関する包括的な研究を論文として、公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、実証的研究として、地域医療構想が2024年度にて終了し、2025年から新たな地域医療構想が実施されることから、地域医療構想制度の意義、運用の課題について、病院経営者、県の政策担当者(保健所長等)、日本医師会常務理事等にヒアリング調査を行った。比較法研究としては、米国における医療のDX化、オンライン診療の実態把握のため、米国における医療のDX化、オンライン診療の実態について、文献調査及びヒアリング調査を行った。医療機関における業務連携に対する独禁法の適用可能性を検討するために、医療機関間の共同調達について、文献調査を行うとともに、医療機関に対するヒアリング調査を行った。このように、わが国における調査及び研究については、予定通り進んでいるといえる。本研究の進捗状況を総合的にみるならば、最終年度に行う本研究テーマに関する包括的論文を作成するための理論的、実証的研究については、「おおむね順調に進んでいる」と評価できる。比較法的研究については、部分的に、ヒアリング調査が未実施であるものの、人口減少社会における対応に焦点をあてた邦文研究成果の公表のための準備が十分なされていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2024年度においては、 今年度は、実証的研究として、上述のように、地域医療構想が2024年度にて終了し、2025年から新たな地域医療構想が実施されることから、過去10年における地域医療構想制度の意義、運用課題について、病院経営者、県の政策担当者(保健所等)、日本医師会常務理事等にヒアリング調査を行う。医療提供体制の中心的な役割を果たしてきた地域医療構想の包括的な検討を行うためである。人口減少社会においては、医療従事者の確保が困難になることから、オンライン診療の促進が求められるところ、比較法的研究として、オーストラリアにおけるオンライン診療の実態について、調査を行う。これまで公表した研究実績を基礎に、本研究の最終年度における研究成果として、本研究テーマに関する包括的な論文を公表する。
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