研究課題/領域番号 |
20K01342
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 成蹊大学 (2022) 北海道大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
佐藤 陽子 成蹊大学, 法学部, 教授 (90451393)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 刑法 / 被害者の承諾 / 児童虐待 / 同意能力 / 未成年者の保護 / 刑事政策 / 未成年者の承諾 / 未成年者保護 |
研究開始時の研究の概要 |
被害者の承諾とは、通常であれば犯罪となるような利益の侵害行為に被害者が承諾することをいう。一般的に被害者の承諾があれば、犯罪の成立は否定される。 しかし、被害者が未成年者である場合に、同様に考えてよいかは疑問がある。承諾能力ある未成年者が彼の現在の価値観に従って承諾をする又はしないという決定をした際、それがどのような結果になっても犯罪の成立を否定又は肯定する、換言すれば未成年者の自己決定を尊重するという帰結は社会の責任放棄であるように思われる。 本研究では、このような問題意識から、未成年の長期的利益を考慮した新たな「未成年者のための被害者の承諾論」を導きだそうとするものである。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、未成年者の長期的利益を考慮した承諾論の再構築にあった。再構築をする際には、①未成年被害者の承諾を制約する方向性と、②未成年被害者の法益処分を推進する方向性の二つの異なる方向性があった。本研究は日本、ドイツ、オーストリアの学説・裁判例を分析し、①②に関する制約・促進の具体的な内容、その理論的道筋を明らかにしようと努めた。結果的に、①②のいずれにおいても「子どもの福祉」や「健全育成」をキーワードに、不合理な未成年者の承諾を無効としたり、あるいは逆に、(常には)同意能力が認められない未成年者の承諾を有効とする可能性があること、その際の理論的道筋は複数ありうることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では日本、ドイツ、オーストリアの学説・裁判例を分析し、未成年者の福祉や健全育成のために、不合理な未成年者の承諾を無効とする理論、あるいは逆に、(常には)同意能力が認められない未成年者の承諾を有効とする理論を研究した。 これまで、未成年者の承諾は、同意能力以外の点においては、成人の承諾と同じように扱われてきたように思われるが、本研究は、それ以外の要件においても異なって扱う可能性を示唆した。それによって、今後は、より厚く未成年者をその未成年者自身から保護することが可能となる。他方で、未成年者に自らの身体等に係る重要事項につき(一定の範囲で)自ら決定させることも可能となる。
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