研究課題/領域番号 |
20K01353
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
笹倉 宏紀 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (00313057)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 法教育 / 刑事法 / 法学教育 / 法学方法論 / 公共 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,(1)高校における「法教育」から学部教育,法科大学院に至る3 段階を通じて,刑訴法の「精神」と「技術」の比重やそれぞれの教育の在り方,および,各教育段階間の役割分担と有機的連携の基本指針を明確にした上で,「法教育」,法学部,法科大学院における教育の手法のあり方を提言するとともに,その実践例を提示する。それらの作業を通じて,(2)教育と表裏一体の関係にある理論研究における「ノンプロ」の要素の意義・位置づけを明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は研究期間4年目にあたるところ、前年度に引き続き、法教育・法学教育の実践を通した研究、並びに法教育及びそれに密接に関わる公民教育・道徳教育の検討という2つの作業に取り組み、かつ、当初計画では、研究最終年度にあたることから、研究の取りまとめを行う予定であった。 前者については、種々の制約により、実践として学習教材に判例評釈を数編執筆するにとどまった。 後者については、高校の公民科「公共」教科書全社分を網羅的に調査した。また、米国の学校における人種統合・権利教育を実地で観察・調査したほか、法律家でない刑事司法関係者・一般市民との交流によって米国のノンプロの法意識・法感覚に直接触れる機会を得た。こうして検討の素材は豊富に得られたが、その分析に時間を要し、年度内に具体的成果を公表するには至らなかった。 本研究の出発点には、「ある法制度なり法的規律がなぜそうなっているのか」についていったん法律家の思考の外に出て説明を与えることがノンプロとの関係では必要・有益であり、しかもそれは「プロのための学問」としての刑訴法学の健全性維持のためにも必要だという認識があった。しかし、法的規律の中には「とにかくそうなっている」という以上の説明が困難なものがある。また、法は、争いが際限なく続くことを避けて矛を収めるという「大人の解決」を図る道具でもある。そのため「なぜそうなっているのか」を突き詰めすぎるとかえって法の力を削ぎかねない。価値観の対立・社会の分断が激化する米国での研究はこの問題の存在を強く認識させた。「突き詰めるか、あえて突き詰めないか」の選択・匙加減の解明には法におけるフィクションの機能の考察を要するが、それはいまだ着手段階にある。 以上の次第で、当初計画のとおりには事が運ばなかった。研究期間延長の承認を得て体制を立て直し、2024年度中の研究取りまとめに向けて努力したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」で述べたとおり。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で示したとおり、日米比較を通じた考察を遂げるとともに、法におけるフィクションの機能についても検討を加えた上で、研究の取りまとめを行う。それと並行して、法教育を実践し、かつその経験を本研究に還元する機会を得るよう努力したい。
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