研究課題/領域番号 |
20K01357
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
仲道 祐樹 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80515255)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 刑事立法学 / 刑事憲法学 / 処罰の早期化 / 憲法と刑法 / 責任主義 / 憲法訴訟 / 行為主義 / 比較刑法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、刑事立法を用いることのできる限界を憲法に求める立場から、憲法訴訟の場で実際に適用可能な刑事立法分析の枠組みを構築することを第1の目的とする。刑法の限界について憲法判断が頻繁に示されるドイツおよびアメリカを比較対象とした理論研究を行う。本研究はあわせて、本研究の依拠する方法論(刑事憲法学)自体のモデル構築を行うことを第2の目的とする。近時ドイツで刑事憲法学の手法を用いる論者が増加していること、ドイツにおいて刑事立法について重要な憲法判断がなされていることから、本研究課題においては、ドイツ法との比較を通じて、モデル構築を行う。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、刑事立法の活性化状況の中でのあるべき刑事立法分析枠組の構築という目標の下、立法者を直接拘束することができ、かつ、憲法訴訟の場において適用可能な立法分析枠組の構築を目指すものである。令和4年度においては、令和2年度から継続する刑法上の基本原則とされる責任主義の憲法上の地位に関する研究の中間まとめ、および、方法論としての刑事憲法学に関する研究を中心に実施した。 責任主義の憲法上の地位については、ドイツの判例調査の結果として、①責任主義の保障内容はいかなるものであるか(責任主義命題の特定の問題)、②その保障内容は、憲法のいかなる規定を根拠として導出されるものであるか(法的根拠の同定の問題)、③〈責任主義〉は憲法上の原理なのか、憲法上のルールなのか(責任主義の憲法上の性質の問題)、④非難可能性のない行為の処罰禁止を憲法上の責任主義に組み込む場合、憲法が体系上、非難の伝達を内容とする刑罰概念を前提としているのか(憲法上の刑罰概念の問題)が論じられるべきことを明らかにした。この観点から、日本の判例の整理作業を行い、判例における責任主義の位置づけについて一定の見通しを得た。 方法論としての刑事憲法学については、①ドイツにて、このアプローチで研究している複数の研究者へのインタビュー調査を実施した。②ドイツにおける基本論文(Gaerditz, JZ 2016, 641-650)の全訳を行い、公表した。③フランクフルト大学(ドイツ)のChristoph Burchard教授に依頼し、ドイツにおける刑事憲法学の議論状況についての知見提供のため、日本での講演会を実施した(その成果は、令和5年度中に投稿、公表の予定である)。これにより、議論状況を相当程度把握できた。その他、日本の刑事立法学に関する近時の研究動向をレビューする作業を行い、国際シンポジウムにおいて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
責任主義の調査研究においては、ドイツ調査は完了し、日本法への応用段階に入っている。しかし、日本国憲法に責任主義を位置づけられるかについては、憲法学との協働が必要となる。複数人の憲法学者の協力が得られる見通しとなったことから、研究課題を1年延長し、より説得力のあるモデルの構築に努めているところである。当初計画によれば3年で完了すべき研究計画であったことから、「やや遅れている」と評価している。 刑事憲法学の方法論については、Burchard教授の招聘を実施したほか、Gaerditz教授の翻訳の公刊を実施するなど、ドイツにおける議論状況の把握は進んでいる。もっとも、なお残っていたコロナ禍の影響もあり、招聘を予定していた研究者の招聘には繋がっていない。令和2年度、3年度の遅れは取り戻せているものの、なお予定した知見提供が行えていないことから、「やや遅れている」と評価している。
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今後の研究の推進方策 |
責任主義の調査研究については、夏期に複数の憲法研究者との意見交換の場を設定する予定である。これにより、責任主義研究を加速させ、またモデル構築に万全を期し、成果公表につなげる予定である。 刑事憲法学の方法論的研究については、引き続き、渡独によるインタビュー調査のほか、オンラインを組み合わせた知見提供の場を設け、知見の拡大を図る。
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