研究課題/領域番号 |
20K01358
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05050:刑事法学関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
岡田 悦典 南山大学, 法学部, 教授 (60301074)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 刑事訴訟法 / DNA / 生体捜査 / 強制処分 / 令状主義 / 強制処分法定主義 / 強制採尿 / 任意処分 / DNA型データベース / 捜査 / DNA型鑑定 / 任意捜査 / 強制捜査 / 捜索 / 押収 / プライバシー |
研究開始時の研究の概要 |
研究は3つの柱による。第一にイングランド・ウェールズにおけるヨーロッパ人権裁判所の2009年S v. United Kingdom判決とそれを受けた立法過程、その後の判例展開を分析し、第二にアメリカにおけるDNA型データベース拡充における議論と、2013年Maryland v. King事件判決およびその後の議論を研究する。第三に、捜査におけるDNA型データベース拡充の意味と我が国の新たな捜査手続の導入における議論過程、および現在の制度的枠組みについて検証する。これを踏まえ、任意捜査を基盤とした捜査におけるDNA型データベースに関する手続的規制、さらに任意捜査規制の法政策、法解釈を提言する。
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研究実績の概要 |
2023年度には、イングランド・ウェールズにおけるDNA捜査の在り方とDNAデータベースの在り方について、1984年イギリス警察・刑事証拠法の成立、その後の王立委員会の改革提案、2000年頃の問題状況、2008年欧州人権裁判所判決の分析、その後の立法状況と現状、及び最近の新たな欧州人権裁判所の判決の分析を行った。その具体的な歴史的展開と議論の本質を明らかにすることができたため、その成果については論文としてまとめ、2024年度中に公表の予定となっている。 また、同様の問題がわが国でも、いくつか裁判所で争われるようになった。そこで、わが国の問題状況をまとめるために、「無罪が確定した被告人のプライバシー保護とDNA型データ等の抹消」と題する判例評釈(名古屋地判令和4・1・18のもの)を判例評論770号にまとめることができた。この判例は、捜査のときに採取されたDNAデータが、無罪確定となった後にも、DNAデータベースに記録が残ったまま、抹消されずにいるために、その抹消請求を争った事例である。また、体内の異物の捜査の適法性が論じられた、東京高判令和3・10・29についても判例評釈として取り上げ、新・判例解説Watch33号にまとめることができた。 後者の事案は、わが国の強制採尿令状を許容した判例法理と強く関わっているために、その判例法理の最近の動向についても研究を行った。 最高裁の判例法理はその成立過程から極めて例外的なものであるので、身体の捜査についてこれを波及させるような考え方には根拠がないという仮説を持つに至り、研究報告も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、最大の目的であるアメリカの判例法理や立法の動向についてまとめることができていたが、比較素材として、引き続きイングランド・ウェールズの判例法理と立法の動向について研究が進み、まとめることができたからである。合わせて、わが国の身体に対する強制捜査に関する判例や、DNAデータの抹消に関する判例の分析を行い、これを公表することができたからである。
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今後の研究の推進方策 |
概ね、DNAデータベースとDNA捜査の現状については、研究をまとめることができたと考えられる。そこで、今後はこの問題を、わが国の捜査法の中で、どのように落とし込んで議論していくべきなのか、また議論の枠組みを作ることができるのか、が課題であると言える。そこで、強制採尿令状を認めた最高裁の判例法理の意義とあり方を、まずは確認する必要があると考えている。それを踏まえた上で、刑事訴訟法としての規制のあり方を論ずるとともに、DNAデータの保存・保管・使用の在り方について、より制度的枠組みの問題についても、検討を加えていく予定である。
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