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いわゆる無過失責任の比較法的検討

研究課題

研究課題/領域番号 20K01360
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分05060:民事法学関連
研究機関北海道大学

研究代表者

山本 周平  北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (10520306)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード無過失責任 / 不法行為 / アメリカ法 / 不法行為法 / 厳格責任 / 危険責任 / ドイツ法
研究開始時の研究の概要

最近の我が国では,いわゆる無過失責任についての議論に関心が寄せられている。しかし,それについては,解釈論・立法論の両面からなお検討されるべき点が少なくない。そこで,本研究においては,無過失責任の帰責根拠・帰責構造を明らかにすることを目標として,ドイツ法における危険責任およびアメリカ法における「異常に危険な活動」についての厳格責任を比較検討し,日本法において妥当しうる一定の理論枠組みを提示したい。

研究実績の概要

本研究は、アメリカ法およびドイツ法を主たる対象としつつ、いわゆる無過失責任(自己の過失行為を要件としない責任)の正当化根拠と判断構造に関する基礎的検討を目的とするものである。
2023年度は、本来であれば研究期間の最終年度となるはずであったが、同年10月から2月まで育児休業を取得したため、実質的に研究を行うことができたのは年度前半の約6か月程度である。したがって、研究実績はやや限定的であるといわざるを得ない。
主たる検討対象としたのは、前年度に引き続き、アメリカ法上の厳格責任に関する議論である。これについては、既に第3次不法行為法リステイトメント20条の「異常に危険な活動」について紹介・分析する論文(山本周平「「異常に危険な活動」についての厳格責任――第3次不法行為法リステイトメント20条の検討」松久三四彦古稀『時効・民事法制度の新展開』(信山社、2022年)791頁)を公表したところであるが、2023年度には、同論文でカバーできなかった関連する議論を付け加え、全体を発展させる形で、研究報告を行った。この報告では、そもそも厳格責任それ自体について批判的な研究(Anthony Gray, The Evolution from Strict Liability to Fault in the Law of Torts, 2021等)の紹介・分析を付け加えて再構成し、その結果、厳格責任の正当化根拠それ自体が自明でなく、なお検討の余地があるという示唆を得た。こうした知見は、厳格責任が限定的ながら承認されている一般的なアメリカ法上の議論や、危険責任の存在が当然視されるドイツ法上の議論に対するアンチテーゼとしての意味を有するであろう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2023年度は、相当期間にわたり育児休業を取得したため、十分な研究時間を確保できなかった。とりわけ、アメリカ法については、判例の検討がなお不十分であり、ドイツ法についても、更に追加的な調査検討を要する。このように、なお行うべき作業が少なからず残っていることから、「(3)やや遅れている」ものと判断した。

今後の研究の推進方策

2024年度においては、アメリカ法およびドイツ法の補充的検討を行った上で、研究の取りまとめを目指すことになる。
まず、アメリカ法に関していえば、学説については一定の検討を行っているので、今後は個別の判例の分析を行うことが重要な課題となる。アメリカ法上の厳格責任に関する判例は必ずしも一貫したものではないといわれることもある(Dobbs, Hayden & Bublick, Hornbook on Torts, at 786 (2nd ed. 2016))が、そのような状況の中でどのような像を見いだすのかが問われよう。また、アメリカ法における厳格責任の起源とされるイギリス法上の判例法理(Rylands v. Fletcherに始まる一連の判例)も視野に入れる必要がある。
ドイツ法に関しては、危険責任に関する通説的見解はおおむね調査済みであるため、それとは異なる主張を展開する学説(Andreas Blaschczok, Gefaehrdungshaftung und Risikozuweisung, 1993; Nils Jansen, Die Struktur des Haftungsrechts, 2003等)を中心に検討する予定である。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (8件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 間接被害者(点と点をつなぐ不法行為判例〔第5回〕)2024

    • 著者名/発表者名
      山本周平
    • 雑誌名

      法学教室

      巻: 521号

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 医療過誤訴訟における過失の推定(点と点をつなぐ不法行為判例〔第2回〕)2023

    • 著者名/発表者名
      山本周平
    • 雑誌名

      法学教室

      巻: 518号

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 建物の設計・施工者等の不法行為責任2023

    • 著者名/発表者名
      山本周平
    • 雑誌名

      窪田充見・森田宏樹 【編】『別冊ジュリスト・民法判例百選Ⅱ債権〔第9版〕』(有斐閣)

      巻: 263号

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 不法行為の成立要件:権利侵害2022

    • 著者名/発表者名
      山本周平
    • 雑誌名

      千葉恵美子・潮見佳男・片山直也【編】『Law Practice 民法Ⅱ債権編〔第5版〕』(商事法務)

      巻: ――

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 「異常に危険な活動」についての厳格責任――第3次不法行為法リステイトメント20条の検討2022

    • 著者名/発表者名
      山本周平
    • 雑誌名

      藤原正則・池田清治・曽野裕夫・遠山純弘・林誠司【編】『時効・民事法制度の新展開―松久三四彦先生古稀記念』(信山社)

      巻: ――

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 規約に基づく「違約金としての弁護士費用」の請求2022

    • 著者名/発表者名
      山本周平
    • 雑誌名

      山野目章夫・佐久間毅・熊谷則一【編】『別冊ジュリスト・マンション判例百選』(有斐閣)

      巻: 259号

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 消費者庁による注意喚起を端緒とする預金口座の取引停止措置〔判批:東京地裁令和2年8月6日判決〕2021

    • 著者名/発表者名
      山本周平
    • 雑誌名

      金融判例研究

      巻: 31号

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 民事判例研究〔判批:最高裁令和2年2月28日判決〕2021

    • 著者名/発表者名
      山本周平
    • 雑誌名

      北大法学論集

      巻: 72巻1号

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 「異常に危険な活動」についての厳格責任――米国第3次不法行為法リステイトメント20条の検討を中心として2023

    • 著者名/発表者名
      山本周平
    • 学会等名
      北海道大学民事法研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 判批:最判令和2年2月28日民集74巻2号106頁――使用者責任における逆求償の可否2021

    • 著者名/発表者名
      山本周平
    • 学会等名
      北大民事法研究会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [備考] 北海道大学学術成果コレクション:HUSCAP

    • URL

      http://hdl.handle.net/2115/81562

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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