研究課題/領域番号 |
20K01370
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
笠原 武朗 九州大学, 法学研究院, 教授 (90346750)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 形成無効 / 会社法 / 行為の効力 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、会社法の領域で、会社その他の者が行う各種行為について設けられている形成無効の仕組みについて、ある行為についての効力問題を適切な範囲で適切な形で扱えていないという問題意識から、それをできるだけ解消するための立法論・解釈論を展開することと、より重要な問題として、そもそも関係者の利害調整のためにある行為の効力を問題とすべき場合とはどのような場合であるか、そして、効力を問題とする場合にはどのような形でそれを扱うのが適切であるかについての知見を得て、それをもって現行法上の形成無効の仕組みについて考えることを目的とする。
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研究実績の概要 |
令和4年度も、引き続き、会社法上の形成無効の仕組みに関連する諸問題についての研究を進め、その一部については公表を行った。 まず、令和4年度の私法学会シンポジウムにおいて、会社の類型に応じたキャッシュ・アウト法制のあり方を報告したが、その中で、利害調整の仕組みとしての形成無効の仕組み(総会決議取消しによる効力の否定を含む)についての検討を行った。上場会社については、二段階方式によるキャッシュ・アウトのための新しい制度を構想するのに併せて、キャッシュ・アウトやその前段階の株式公開買付けの効力を否定するタイプの救済は不要どころか有害であるという主張を行った。また、そのことは一段階取引の場合にも同様であることを主張した。他方で、閉鎖会社のキャッシュ・アウトについては、他の利害調整メカニズムを前提としても、効力を否定するタイプの救済には独自の意義があり、閉鎖会社ではキャッシュ・アウトの目的のみならずプロセスに着目して効力を否定する可能性を認めるべきとの結論に至った。この報告の元になる原稿を令和4年中に公表した。 また、上記報告の閉鎖会社に関する部分について、さらに裁判例を題材により詳細な検討を行った。その成果はすでに論文としてまとめており、複数人の論文を集めた論文集(令和5年中に刊行予定)に収録されるものとして令和4年度中に提出している。 そのほか、米国法について判例分析を行っているが、その成果はまだまとめられていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本法上の問題については様々な問題を検討することができており、令和4年度も引き続き同じように研究を進めていければよい。 しかし、当初考えていたよりも、比較法的考察の材料となるべき外国法の研究に時間を割くことができず、具体的な成果物を公表することができていない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に引き続き、会社法上の形成無効の仕組みに関する様々な問題について研究を行う。日本法については、特に、組織再編行為における救済方法、振替株式制度との関係について考察を深めたい。一方、外国法については、アメリカ法の状況について、文献資料を通じて引き続き研究を進めたい。
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