研究課題/領域番号 |
20K01385
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
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研究機関 | 沖縄国際大学 |
研究代表者 |
上江洲 純子 沖縄国際大学, 法学部, 教授 (60389608)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 再建型倒産手続 / 民事再生 / 会社更生 / 剰員整理解雇 / 任意管理手続 / フェア・ワーク法 / イギリス法 / オーストラリア法 / オーストラリア / 倒産労働法 / 整理解雇 / イギリス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「倒産労働法」分野に倒産法領域からアプローチするものである。具体的には、① 日本の議論の状況を再整理し、② イギリス・オーストラリアの法制・判例・学説等に係る最新資料を収集した上で、③ イギリス・オーストラリアにおいて倒産法研究者・倒産実務家を中心にインタビュー調査等を実施する。そして、④ これらを比較分析することで、再建型倒産手続において管財人等が解雇を行う際に適正に機能する判断基準の確立を目指す。 本研究によって倒産手続における解雇手続の透明性が確保されれば、ひいては事業の再生に不可欠な「労働者の協力」を獲得することにも繋げることができるのではないかと考えている。
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研究実績の概要 |
本研究は「倒産労働法」分野に倒産法領域からアプローチし、イギリス・オーストラリアの法制等を手掛かりにして、日本の再建型倒産手続における労働契約の処遇の在り方を探ることを目的とするものであるが、やはり今年度についても昨年度に引き続きコロナ禍の影響により大きな制約を課せられた中で研究を進めざるを得なかった。 当初の計画では2022年度を研究最終年度と位置づけ、本研究の集大成として、再建型倒産手続における労働契約の処遇の在り方を探求し、研究着手当初に立てた問いへの解を模索することを予定していた。その際には、比較検討対象であるイギリス・オーストラリアの法制を分析し、管財人等による解雇において適正に機能する判断基準を抽出し、当該時点でたどり着いた帰結を明らかにすることを考えていたが、2021年度までに実施を予定していた事項で未実施のものがあり、上記スケジュールに着手することはできなかった。 そのため、2022年度は、2021年度に引き続き、データベース等を用いて、①前年度に引き続き日英豪の最新の資料収集に努めること、②イギリスのブレグジット前後の法制や判例の変化を確認することを中心に行い、既に収集した資料・情報についてアップデートすることを行った。なお、研究開始当初、2020年度・2021年度に実施することを想定していた、③イギリス・オーストラリア現地において研究者・倒産実務家を中心にインタビュー調査等を実施することについては、コロナ禍により2022年度も実施には至らなかったため、引き続き現地調査の実施に向けて検討を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響で、当初予定していたオーストラリアおよびイギリス現地調査の実施が不可能となったことから研究課題の遂行に大幅な遅れが生じている状況にある。 本研究の最大の特徴は、イギリス・オーストラリアの現地調査において当該分野の研究者・倒産実務家に直にアプローチすることにより、現地における倒産法・労働法の改正動向や議論状況を探り、それを研究成果に反映させることにある。近時、両国では、特に倒産法分野につき大きな法改正が相次いで行われており、改正後の実務の対応状況についても確認したいところ、コロナ禍により両国の現地調査を断念せざるを得ず、情報収集手段が書籍やデータベース等に限定されてしまい、両国の研究者や倒産実務家の方々から直に情報を得る貴重な機会を失ってしまった。加えて、当初の計画では、研究初年度にオーストラリア、その次の年度にイギリスにて調査を段階的に行う予定でいたが、いずれも実施できておらず、そのため、これらの現地調査を踏まえて行う予定であった両国の制度・判例の分析検討や研究経過報告の計画も見直さざるを得ない状況にある。 次年度は、ようやくイギリス現地調査を実施する目途が立ったことから、現地調査を踏まえた分析・検討に着手し、その成果について年度末には公表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、これまで実施できなかったイギリス現地調査を敢行できる目途が立ち、その準備を進めているところである。また、オーストラリア調査が実施できない場合に備えて、オーストラリア法研究者や当該法の実務経験者に日本国内またはオンラインでアプローチすることを検討している。 コロナ禍の影響でこの3年実現できなかった調査項目のうち可能な事項から順次着手するとともに、現地調査等を踏まえて得られた知見を手掛かりに、イギリス・オーストラリアの法制・判例・学説を比較分析し、日本の再建型倒産手続において管財人等が解雇を行う際に適正に機能する判断基準や労働契約の処遇の在り方について提言できることを取りまとめ、研究会や紀要等を通して研究成果を公表していくこととする。
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