研究課題/領域番号 |
20K01389
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05060:民事法学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 亘 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (00282533)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 法学の方法 / 法と経済学 / 社会厚生と公正 / 公正概念の進化的起源 認 / 認知心理学と法 / 企業倒産法 / 会社法 / 公正概念の進化的起源 / 法の評価基準 / 自由意志 / 功利主義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、法制度の望ましさをどのような基準に基づいて判断するかという問題について、主に応募者の研究領域に関連する私法上の諸制度を対象として、分析するものである。具体的には、本研究は、Kaplow and Shavell (2002)で展開された、「法制度の望ましさは、専ら、諸個人の効用の関数(通常は、その総和)である社会厚生(social welfare)を基準に判断すべきであり、それとは異なる公正の観念を基準にするべきではない」という主張を検討対象とし、この主張がどこまで支持できるのか、また支持できる理由が何かについて、経済学、心理学および倫理哲学の知見を活用しながら明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究は、法的議論(解釈論または立法論)を行うに際して、何が望ましい法制度であるかをどのような基準(評価基準)に基づき判断するのかという問題を考察するものである。 本年度も、昨年度に続き、研究代表者が所属する東京大学社会科学研究所における全所的プロジェクト研究「社会科学のメソドロジー」の研究班である「法学の方法」を主催し、法制度の評価基準あるいは法律論の方法について真剣に考察している研究者との知的交流を実現できた。また、昨年度に続き、企業倒産法制の国際比較研究“Foundations of Corporate Insolvency Law: A Comparative and Economic Perspective”に参加し、各国の研究者と知的交流を深めることができた。本年度は、そうした知的交流で得た知見を生かしながら、企業法に関する様々な問題(株式会社法の目的、企業買収法、金融分野の技術革新と法制度のあり方、内部通報者保護制度)をテーマとして、法制度の評価基準の問題に留意しがら考察する4本の論文を公表することができた。 本年度はまた、伝統的な法学方法論である利益衡(考)量論について検討するとともにに、法律論のあるべき方法について序論的な考察を行う論文の執筆を進めた。そこでは特に、利益衡(考)量論が重視した直観や常識による価値判断が、ときにバイアスのかかった判断を導きうることを、認知心理学等の関係諸科学の研究成果によって明らかにし、価値判断に基づく法律論を適切に行うためには、「客観的に妥当な価値判断」が何かを考察する必要があることを論じた。また、価値判断を行う前提となる、法制度が人々の行動や利害に与える影響を予測および検証するための有力な分析ツールである法の経済分析の意義を論じる論文を執筆した。これらの研究論文は、いずれも、2023年度中に出版される予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
法制度の評価基準の問題について、この問題に深い関心を持つ多くの研究者との知的交流を通じて考察を深めるとともに、研究成果を着実に公表することができているため。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度に続き、「研究実績の概要」で説明したような多くの研究者との交流機会も生かして、法制度の評価基準の問題について、法と経済学、認知心理学および道徳哲学の知見を用いた理論的研究と、企業法を中心とした個別具体的な法制度の研究の両面から、分析、検討を深めていきたい。現在、企業法学の方法に関する研究代表者のこれまでの研究成果をまとめた論文集を出版する計画が出版社との間で進んでいる。これは、上記問題についての研究代表者のこれまでの立場を確認するとともに、今後取り組むべき課題について示すものであり、「研究実績の概要」で述べた2本の研究論文と同様、2023年度中に出版できる見通しである。
|