研究課題/領域番号 |
20K01429
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05070:新領域法学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
加藤 暁子 日本大学, 法学部, 教授 (40438750)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | コロナウイルス / ワクチン / 特許権 / COVAX / 知的財産保護の免除 / 治療薬 / 地球公共財 / ACTアクセレレータ / 知的財産開放宣言 / 医薬品アクセス / COVID-19 / 医療製品 / 知的財産プール / 知的財産 / 公衆衛生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、慢性的・急性的の双方における医薬品アクセスの改善を事例として、国際的及び各国・地域の平面で、知的財産保護と公衆衛生の保護の間の関係が各々、異なって位置づけられているとの仮説を基に、「TRIPSの柔軟性」と称される国際的な法制度はそれら相違を許容する余地を有するかを検討する。 TRIPSの柔軟性は、通商法の一部をなす国際知的財産法と、健康に対する権利を基本的価値とする国際公衆衛生学の、別個の研究主体・フォーラムで議論されてきた。本研究は、2010年頃から欧米で進む両者の接点探求の試みに呼応して、日本での研究上の空白を埋める。また、慢性・急性の医薬品アクセスを峻別して知的財産保護を論じる。
|
研究実績の概要 |
2022年度は、前年度に引き続き、COVID-19のパンデミックという急性的な緊急事態が世界の医療製品に及ぼした作用について、国家・政府や関連産業、製品に関する知的財産の権利者及び利用者の対応について、情報や学説を収集、検討した。 以上の点に関する2020年以降の世界的な動向とそれが医薬品アクセス問題に与える作用を分析、検討する研究成果が、インターネット上のブログ等にとどまらず書籍、論文として刊行され始めている。WHOを主軸として医療製品の開発、製造、普及を進めてきたAct-Accelerator及びCOVAX、或いはMedicines Patent Pool等の国際機関の活動、ノウハウの共有困難を克服する途上国での生産拠点の設立、WTOにおけるパンデミック対応に必要な限りでの知的財産保護の免除の提案・決定も、検討、評価されている。他方、先進国を中心にパンデミックが一定収束し、対処方法も見出される中で、パンデミック発生以降に世界的に共有されてきた感染者数やワクチン接種率のような基本情報の集約と公開を国際機関等が打ち切りつつあり、この事象もまた今回のパンデミックの教訓の一つではないかという危機感を以て集約に当たるよう努めた。 並行して、他の共同研究において検討対象にしている個別の国家、特にインド、バングラデシュさらに米国における事態の推移に関して、現地研究者からも情報を得ながら検討し、インドに関して国際学会で、バングラデシュに関して国際セミナーで報告した。これらの国が医療製品の開発、調達に関して、多国間フォーラム、及び、ワクチン・ナショナリズムに基づく二国間、二者間の取引にどのように依拠してパンデミックに相対したかについて、国内外・国家間におけるパンデミックの推移を照らし合わせるように留意しつつ、検討した。 世界及び米国の動向分析に関して、次年度に学会報告・論文発表を予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度末に課題に挙げたCOVID-19パンデミックという急性的な緊急事態、及び、それが慢性的長期的な医薬品アクセスへのアプローチに及ぼす影響、さらに、アジア諸国及び米州における議論について、一定の情報収集、検討を進めることはできた。しかし、文献ベース、オンライン・ベースであり、対面での当事者インタビューや海外調査は実施できておらず、裏付けと広がりに乏しい現状である。また、文献ベースに限っても、グローバルな、或いは、各国の対応についての検討を含む先行研究の成果が引き続き発表されており、さらに収集、検討する必要がある。 以上の理由から、本課題の研究期間の延長を申請して、承認を得た。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、文献・オンライン・ベースで先行研究の成果や関連情報の収集、検討を進める。その結果を前提として、パンデミックの推移をみつつ、グローバルな対応の拠点となった国際機関等における対面での当事者インタビューや海外調査により、裏付けを得て、急性的な緊急事態への対応と、それが医薬品アクセスへのアプローチに与えた作用について取りまとめたい。
|