研究課題/領域番号 |
20K01441
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2023) 北海道大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
渡辺 将人 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 准教授 (80588814)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 選挙 / 共和党 / 民主党 / 政党 |
研究開始時の研究の概要 |
現代アメリカの民主党と共和党における支持基盤の形成をめぐる変容を選挙過程から明らかにする。争点志向の有権者による争点単位の「活動者連合」が、2016年大統領選挙でのサンダース台頭とトランプ勝利における反TPP(環太平洋経済パートナーシップ協定)に象徴される超党派の草の根の力を発揮する中、アメリカの政党の支持者連合の形成は新たな対応に迫られている。選挙を決定付ける主要争点で「活動者連合」を編成する一方で、個別争点に左右されない「支持者連合」の育成で政党の求心力を高めることは可能なのか。政党帰属意識の薄い争点志向の有権者の増加やポピュリズムで流動化するアメリカの選挙を集票活動から分析する。
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研究実績の概要 |
本年度は、大統領選挙前年予備選挙キャンペーン期であり、2024年大統領選挙を事例とした調査を引き続き進めた。第1に、アイオワ州党員集会の制度変更に伴う民主党の予備選挙プロセスの余波である。結果としてバイデン大統領への本格的な挑戦者が出なかったものの、アイオワが初戦州の地位から落ちてサウスカロライナ州の順位が繰り上がった制度変更は2028年から民主党の候補者選びにイデオロギーと人口動態の特徴から甚大な影響を与えると見られる。その予行演習を確認するサイクルとなった。第2に、民主党内の分裂状況の分析である。穏健派の衰退、伝統的リベラル派である労組と2010年代以降に躍進した「党外」グループに暫定的に区分けし、それぞれの特質を調査した。党外的な「新世代左派」が運動としてはBLM、選挙戦としてはバーニー・サンダース支援の活動家が主体であることに着目し、社会正義や人種正義を訴える活動家の動きを調査した。第3に、トランプ政権以降に顕著な、内政要因がそのまま外交を規定する「外交の内政化」を検討した。共和党側で支出と財政赤字を懸念する共和党議員が、ウクライナへの資金提供がアメリカの国益に資するかを財政問題に変換して争点化した過程を、外交問題の論じられ方の変質として捉え直した。20年に及ぶイラクとアフガニスタンの戦争による厭戦気分から歴史的な総括も行った。また、国際主義のニッキー・ヘイリー候補が対中強硬派として伸び悩んだ背景にある、ハマスによるテロ攻撃以降のイスラエルとハマスの戦争の影響についても考察した。特に2024年は台湾総統選とアメリカの指名争い初戦である共和党アイオワ州党員集会が数日違いの隣接した日取りになったことで様々な余波を双方に与えた。このことを台湾での調査も加えて包括的に分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの蔓延によりアメリカでの現地調査が引き続き困難な状況は続いていたが、所属機関の変更に伴う諸業務で調査が一時中断した。他方、他財源のプロジェクトと連携する形で晩夏に現地調査が再開できた。シカゴ、アイオワ、ワシントンで予備選挙の陣営、現地の政党有力者に党内派閥、争点について有意義な調査が行えたが、外交に関しては調査直後にイスラエル・ハマス戦争が勃発したことで、アメリカ外交の内政化の実証として事例に取り組んでいる米中対立の分析は一部停滞した。一方、アメリカ国内の移民コミュニティの研究は中華系を中心に進展し、一部は書籍成果に盛り込まれた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年大統領選挙の現地調査を継続する。1期務めた元大統領の再出馬、それも大統領経験者同士で同じ顔ぶれの候補者同士の再対戦になる歴史的にも前例が限られる選挙がもたらす含意についても検討する。とりわけ議題設定、キャンペーンのアウトリーチの焦点に注目する。共和党・民主党大会での調査を検討中である。また、外交の主要事例として観察している対中政策で引き続き争点である台湾問題について、台湾で新総統政権が始動することも踏まえて大統領選挙への影響を調査する。成果公開については国際報告、論文、書籍など多方面に取り組む。
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