研究課題/領域番号 |
20K01449
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
益尾 知佐子 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (90465386)
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研究分担者 |
大西 富士夫 北海道大学, 北極域研究センター, 准教授 (20542278)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 中国 / 北極 / グリーンランド / 監視観測システム / ロシア / 科学 / 観測 / 国際法 / 科学技術 / 政策 / 科学者 / 中国共産党 / 米国 / 北斗 / 漁業 / 衛星 / 北極政策 / 経済 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の中国の北極政策は、極地科学、位置情報衛星(北斗)、漁業資源、鉱物資源、海運、国際法、軍事安全保障、国際機関など、さまざまな分野の専門家の関与を得て、分野を超えた学際的な取り組みの下に実施されている。本研究では、そのネットワークの構造、そしてそれと指導部との関係を明らかにしながら、北極進出という新たな対外政策をめぐる習近平の国内体制、その意図、今後の発展の方向性を総合的に考察していく。
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研究実績の概要 |
最終年度は主に、前年度にプロジェクトが完了しなかった研究代表者のみで研究を実施した。 中国は2022年12月にゼロコロナ政策を撤廃したが、2023年1月には気球事件でアメリカと激しく対立した。その後、3月には習近平・国家主席がロシアを訪問し、中露共同声明が発表された。これらを受け、2023年度が始まる頃には北極圏をめぐる国際政治が新たなフェーズに入ったことが確認できた。つまり、ウクライナを侵攻したロシアが北極評議会から事実上締め出され、米国を中心の国際秩序に強い懸念を持つ中国指導部がロシア支援に乗り出し、これらを受けて中国がロシアを基軸に北極圏への足がかりを築く政策に転じたのである。パンデミック発生以前、中国は北欧諸国などとの関係強化に熱心であったが、そうした国々における中国の存在感は、一時的かもしれないが大きく後退した。このような状況は、外交文書だけでなく北極関連の国際会議などでも確認できた。 国際環境の変化により、ロシアや中国への渡航は日本人研究者にとって非常に難しくなったため、最終年度はグリーンランド・サイエンスウィークに参加してフィールド調査を行った。中国がパンデミック以前には積極的にグリーンランドに進出していたため、庶民の中国への関心は高かった。またグリーンランドではイヌイットの間でデンマークからの独立を目指す動きがあり、経済的独立の観点から中国の進出に期待する声もなお聞かれた。だが現状ではイヌイットの政治的立場も多様で統一されておらず、また国際政治の変化によって中国の当地への進出そのものが停滞していたため、社会の中の実際の争点になるには至っていないとわかった。 研究代表者はそのほか、中国が構築している人工衛星や海洋デバイスを用いた監視観測システムや、関連の国家計画などについても、文献情報等に基づいて研究を進めた。
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