研究課題/領域番号 |
20K01455
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
信夫 隆司 日本大学, 法学部, 特任教授 (00196411)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 日米地位協定 / 日米密約 / 刑事裁判権 / 拘禁権 / 刑事裁判権放棄密約 / 刑事裁判権の運用改善 / 米比軍事基地協定 / 米韓地位協定 / ドイツ補足協定 / アイスランド補足協定 / NATO軍地位協定 / 身柄拘束密約 / 競合的裁判権 / 公務犯罪 / 運用改善 |
研究開始時の研究の概要 |
日本には、現在、約四万人の米兵が駐留している。それに軍属といわれる米軍人以外の米軍関係書、および、それらの家族を加えると、相当数の米軍関係者が駐留していることとなる。 米軍関係者が多数日本に駐留するとなると、日本人と接触する機会も増える。たとえば、米兵が一般の道路を車で運転して、交通事故を起こすといったような場合である。ただ、米軍関係者が日本で罪を犯しても、あまり起訴されず、裁判にもかけられないケースが多いのも事実である。それはなぜなのかを明らかにしようとするのが本研究である。この研究を通じ、日本における米兵の犯す罪の数を減らし、人々が安心して暮らせるようにしたい。
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研究成果の概要 |
米兵はなぜ裁かれないのかを明らかにするため、米兵がどの程度起訴されているのかを分析した。その上で、米兵に対する起訴率と日本人(米兵以外の外国人を含む)に対する起訴率を比較した。その結果、前者の起訴率は約17%、後者は約44%であることが明らかになった。両者の起訴率に倍以上の開きがある。 なぜこのような起訴率の違いが生じているのか。可能性として、刑事裁判権放棄密約の存在が考えられる。刑事裁判権放棄密約とは、米兵が罪を犯しても、実質的に重要な事件を除き、日本側は米兵を起訴することはないとの日本側の一方的な政策表明である。これが密約であることを論証すると共に、起訴率に与えた影響を検討した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
刑事裁判権放棄密約が存在することは明らかにされてきた。この密約は、2011年8月25日に開かれた日米合同委員会で、日米は秘密指定の解除に合意した。ただし、日本政府による一方的な政策的発言であり、合意を構成するものではないことを日米は確認している。したがって、約束ではないというのが日米両政府の主張となる。 本研究では、一方的政策的発言という形で密約が交わされる交渉過程を詳細に分析し、一方的政策宣言に名を借りた密約であることを論証した。これにより、なぜ米兵の起訴率が低いのかを解明する端緒が開かれた。また、この政策が検察の末端まで行き渡っていることを明らかにし、その問題点を指摘した。
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